会員登録

197号 SUMMER 目次を見る

Close Up

ここがポイント!口腔機能発達不全症へのアプローチ

青森県青森市 とき歯科 院長 土岐 貴/副院長 土岐 志麻

目 次

青森県青森市
とき歯科

  • [写真] 院長 土岐 貴
    院長
    土岐 貴
  • [写真] 副院長 土岐 志麻
    副院長
    土岐 志麻

これからの歯科臨床は、う蝕や歯周病だけでなく、口腔機能の改善に注力していく必要があり、その中でも小児期の口腔機能の改善の大切さを浸透させていくことが必要です。とき歯科では、開業以来、小児歯科専門医指導医の土岐志麻副院長を中心に、いち早く小児の口腔機能改善に努めてこられました。本取材では、その取り組みの模様をクローズアップします。

青森県のDMFT指数改善を目指して

<院長 土岐貴>
私はもともと歯科技工士でしたが、2年ほど勤務して、歯科医師に転向しました。その後、2000年に私の地元である青森市に「とき歯科」を開業しました。開業当初、近隣に歯科医院がなく、初日から多くの患者さんが来院してくださり、今まで無我夢中で診療を続けてきたというのが正直なところです。副院長の志麻先生とは大学の同期で、当時志麻先生は北海道大学大学院を卒業し同大学で助手として勤務していました。そこで、いったん私だけ青森に戻って開業し、1年ほど経ってから志麻先生が合流し、それ以来共に診療を続けてきました。志麻先生は、インプラント治療や大規模な補綴治療が盛んだった20数年前から、予防の重要性を訴えていました。治療の繰り返しに限界を感じていた私もその影響を受け、徐々に予防中心の診療体制にシフトしていくようになりました。当初チェアユニット4台でスタートしましたが、現在は8台まで増えて、2階はメインテナンス専用になっています。う蝕や歯周病は、定期的なメインテナンスや自宅でのセルフケアを欠かさず行うことで、抜髄や抜歯のような事態はほぼ回避できると考えています。大事なことは、そのことをどうやって患者さんに伝え、自分ごととして考えてくださるように行動変容を促せるかにかかっていると思います。取り組みたいと考えていることはたくさんあるのですが、毎日100人以上の患者さんを診ている現状では、あれもこれもできないのが悩ましいところです。今後は、規模の拡張も視野に入れながら、常に下から数えた方が早い現在の青森県のDMFT指数を、私たちの取り組みによって、少しでも挽回していくことができればと考えています。

最終目標は永久歯列

<副院長 土岐志麻>
もともと子どもが好きでしたから、学生時代から小児歯科には関心を持っていました。進学した北海道大学大学院では、現在の私の診療の基礎になっている「決して無理せず、本人が納得するまで時間をかけて説明する」というスタイルを学びました。私たちの最終目標は永久歯列で、その方がう蝕もなく、健康に生きていけることです。乳歯の期間に多少う蝕があっても、それを責めるのではなく、歯科に継続して関わってくだされば道が拓ける、という成功例を、6年半在籍した北海道大学でたくさん目にしてきました。その経験が私の中にずっと生き続けているのだと思います。その後、結婚し青森で開業することになりましたが、当時、文部教官という国家公務員の立場を捨てての青森行きでしたので、正直迷いました。
青森に来て驚いたのは、他の地域に比べてう蝕が多かったことです。う蝕が多いと食べる時にあまり噛まなくなるので、お口ポカンもその当時から多かったと思います。さらに、近年のコロナ禍の影響でお口ポカンが増えてしまった印象があります。今でもマスクを外せない子どもがたくさんいることを、小児歯科医だけでなく、他の医療関係者や保護者の方にようやく認識いただけたことで、口腔機能改善に関する指導が行いやすい環境になってきたと思います。この先、歯科医師が注力すべきテーマは「口腔機能」だと思います。

  • [写真] とき歯科の外観
    とき歯科の外観。取材時にも多くの患者さんが来院されていた。
  • [写真] 待合室
    まずは患者さんへの情報提供が大切という観点から、待合室には掲示物が所狭しと貼られている。
  • [写真] スタッフ自作の患者説明用の資料
    チェアサイドには、スタッフ自作の患者説明用の資料が何十種類も置かれている。必要に応じて手渡しすることで、患者さんの理解を促している。

口腔機能発達不全症に取り組むポイント

<副院長 土岐志麻>
お口ポカンや口腔機能発達不全症の何がいけないのか、読者の皆さんは十分理解されていると思います。しかし、保護者の方は「お子さんは“お口ポカン”になっていますよ」とお伝えしても、どうすれば良いかわからないと思うんです。そのため、当院では掲示物などによる情報提供を欠かさず行っています。一般の先生方がまず取り入れようとされる際には、お口ポカンがどんなもので、どういった弊害があるのかを患者さんにまず示してあげることが大切だと思います。保護者の方が理解して「治したい」という意識になって、初めて私たちは介在できるのです。口頭ではなかなか伝わりにくいので、当院では、問診票に「言葉の発音が気になりませんか」などの質問を載せています。その部分にチェックがあれば、こちらから保護者の方に声掛けをさせていただくようにしています。

MFTがうまくいかない時には歯科医師によるサポートが大切

[写真] とき歯科のスタッフの皆さん
とき歯科のスタッフの皆さん。10名の歯科衛生士のうち8名が、小児歯科学会認定歯科衛生士の資格を取得している。

<副院長 土岐志麻>
口腔機能発達不全症の検査を終えた後、当院では、まず現在の状況と、今後起こりうる問題について説明します。しかし、最終的に選ぶのは保護者の方ですから、決して強要はしません。ガムトレーニングは保険診療で行いますが、MFTは自費診療ですので、それぞれ全く別のものです。ただ、ガムトレーニングだけで、かなり改善するケースもあります。MFTは費用も高額ですし、時間もかかります。そうすると、「MFTまでは必要ない」という方が多く、ガムトレーニングはその受け皿として捉えています。ガムトレーニングの場合、ガムを丸めて上顎に押し付けるステップまでは私たちが指導します。あとは「資料を見ながらご自宅でやってみてください」とお伝えし、ガムトレーニングのリーフレットをお渡しして終了するので、それほど時間はかかりません。ガムトレーニングからMFTに移行するかは、例えば「発音がうまくできない」「うまく飲み込めない」など、そのことで本人がどれだけ困っているかによります。本当に困ったと本人が感じていれば、MFTに移行するケースが多いと感じています。
MFTを始める場合、以前から担当していた歯科衛生士が引き継いで行います。すでに信頼関係ができているので、歯科衛生士としては「このお子さんを何とかしてあげたい」と思って頑張るのですが、実は途中で続かなくなるお子さんも多いんです。そのときに責任を感じてしまうスタッフもいるので、その時は、歯科医師から「一旦中断してみたら」とアドバイスしてあげないと、そのスタッフのストレスはどんどん溜まってしまいます。「ステップアップできないんですよ」「うちの子には少し難しかったかもしれません」と保護者の方から相談があった際には、歯科衛生士ではなく私から直接保護者の方に説明します。うまくいっている時は歯科衛生士に任せておけばいいのですが、要はうまくいかない時に、歯科医師が状況を見極め、スタッフの取り組みをサポートできるかが重要だと思います。

この記事はモリタ友の会会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

残り 4713 文字

モリタ友の会有料会員に登録する ログインする

目 次

モリタ友の会会員限定記事

他の記事を探す

モリタ友の会

セミナー情報

セミナー検索はこちら

会員登録した方のみ、
限定コンテンツ・サービスが無料で利用可能

  • digitalDO internet ONLINE CATALOG
  • Dental Life Design
  • One To One Club
  • pd style

オンラインカタログでの製品の価格チェックやすべての記事の閲覧、臨床や経営に役立つメールマガジンを受け取ることができます。

商品のモニター参加や、新製品・優良品のご提供、セミナー優待割引のある、もっとお得な有料会員サービスもあります。