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Interview

開業・改装を目指す先生方へのヒントに② 開業時から取り組むべき自費診療としてのコンポジットレジン直接修復法

静岡県浜松市 田代歯科医院 院長 田代 浩史

目 次

  • [写真] 静岡県浜松市 田代歯科医院 院長 田代 浩史
    静岡県浜松市
    田代歯科医院
    院長 田代 浩史

前号から2回にわたり、開業を目指す先生方に向けた田代浩史先生のインタビュー記事を紹介しています。後半となる今号では「開業時から取り組むべき自費診療としてのコンポジットレジン直接修復法」がテーマです。田代先生がお勧めする「経費を抑えた自費診療」について、開業時から取り組みやすい症例を交えてお話しいただきました。

治療方針に関して、新規開業の際に考えておくべきことは何でしょう

当院の現在の治療内容は、およそ60%がメインテナンスで40%が小規模なMI治療という内訳になっています。開業から23年が経過し、患者さんの母数がある程度確保されているため、その中でメインテナンスと小規模治療を繰り返す流れが既にできています。新規で開業された場合、もちろん最初から当院のような状況になることはないでしょう。しかし、初診から治療が終了し、メインテナンスに移行していく患者数が数千人単位になっていけば、自然と当院のような流れになっていくのではないかと思います。ただ、その体制を作っていくためには、「当院では、あなたの健康な歯をできる限り温存することにフォーカスしています」という姿勢をアピールしていく必要があると思います。
例えば、臼歯隣接面にう蝕が見つかった場合、さまざまな治療法が考えられますが、メタルインレーやCAD/CAMインレーといった間接法による治療を選択されるクリニックも多いと思います。従来、間接修復はチェアタイムが短く、歯科医師の負担も少ない。さらに、一見すると誰でも同様のレベルの完成度が得られる治療法と考えられてきました。しかし実際には、直接修復に比べて健全歯質の切削量はかなり多くなります。加えて、近年CAD/CAMインレーによる保険診療という選択肢が新たに設けられましたが、CAD/CAMインレーの場合、保険診療のメタルインレーに比べて切削量が約2倍近く増えますから、健全歯へのダメージはより大きくなります。
ですから私は、開業される際に直接修復を第一選択として提供できる環境を作っていくことをお勧めしたいと思います。ただ、ネックになるのは、直接修復の場合の保険算定基準がCAD/CAMインレーの1/4しかないことです。この状況だと開業直後の先生は困ってしまうと思いますから、短い時間で効率良く治療できるようスキルアップしていただくしかありません。しかし、それだけでは、クリニックの運営体制が安定しないので、そこは接着・修復技術を活かして、「経費を抑えた自費診療」という考え方を理解し、積極的に取り入れていく必要があると考えています。

  • [図] 田代歯科医院における治療とメインテナンスの割合
    田代歯科医院における治療とメインテナンスの割合
  • [グラフ] 2025年の田代歯科医院における自費診療の内訳
    2025年の田代歯科医院における自費診療の内訳。Direct CR(コンポジットレジンを用いた直接修復治療)は、自費診療全体のうち25%を占める。

「経費を抑えた自費診療」とはどんな治療法でしょう

具体的には、コンポジットレジン(CR)を用いた直接修復法のことを指します。経費を抑えながらクオリティの高い治療が提供でき、患者さんにとっては健康な歯を削る必要もなく長持ちして、かつ比較的簡単な処置でリペアも可能です。そうした治療がセラミックインレー等の約1/10以下の材料のコストで提供できるなら、患者さんとクリニックの双方にとって、メリットの多い治療法だと言えるでしょう。それを実践していくために必要となるのが、患者さんに対して自信を持って説明できる理論的な裏づけと、その治療法を口腔内で再現できる治療技術です。技術サポートについては、モリタが提供するマトリックスシステム「コンポジタイト 3D システム」をはじめ、上手に運用するための仕組みが以前より整備されています。どんな状況でどの製品を使用するかさえ判断できれば、とても効率的な自費診療を展開できると考えています。

貴院における保険診療と自費診療の判断基準について教えてください

当院の場合はとても明確で、初発のう蝕は保険診療で行います。一方、メタルインレーなどが脱離して再治療を行うケースでは、「白い材料で治療する場合は自費診療になります」とお伝えしていて、それがいちばんシンプルでわかりやすいと思います。クリニックの体制として、治療の選択肢に関して患者さんから疑問や質問があった場合に答えられる知識をスタッフ全員が持っています。さらに、「歯の切削量が少ないCRによる自費治療をぜひお勧めしたい」という思いが院内に浸透しています。そのためには、“MI治療を優先する”というクリニックの方針を、スタッフ全員が理解していることが前提です。治療の難易度はそれほど高くないと考えていますが、治療後に天然歯と見分けが付かないレベルで審美性を追求する必要もないと思います。しっかりと歯質と接着して歯髄や象牙質を保護し、かつ機能的な形態で耐久性があることが最優先されるべきです。こうした考えは、私の恩師である田上順次先生が常々口にされる「何がいちばん大切か、その本質を見極めて、誰もが取り組める仕組みをつくる」という理念にも繋がっています。テクニカルな部分に過度にフォーカスするのではなく、もっと純粋に歯を守るために選択すべき治療法と言い換えることもできるでしょう。私がCRによる直接修復法にこだわる理由は、そんなところにもあると感じています。

CRによる直接修復法のメリットをお聞かせください

CRの場合、しっかりと歯質と接着して機能的な形態が付与できれば、チッピング等のトラブルが発生する確率はかなり低いと言えます。また、万が一欠けてしまった場合でも、補修修復にかかる材料の費用はとても安価です。「クリアフィル メガボンド 2(以下:メガボンド 2)」とポーセレンボンドアクチベーターを活用した補修修復の接着システムが確立しており、破折した部分にコンポジットレジンを追加する際にも安定した接着力が期待できます。また、破折時のリペアに技工費用が必要となる間接修復とは異なり、補修修復にかかるクリニックとしての費用負担は非常に小さいです。患者さんがメインテナンスでの通院を怠っていたとしても「今回は1回目なので無料で補修修復しますが、今後は定期的なチェックとクリーニングに来てくださいね」と余裕を持った対応ができます。こうした治療法を選択できるのも「メガボンド 2」の高い接着力に依存する部分が非常に大きいと感じています。「メガボンド 2」は、その接着力が世界中で高く評価されている材料ですが、それを私たちはリーズナブルな費用で使用することができます。私は窩洞が大きい場合にはプライマーを大量に使用するので、1回当たりの単価は少し上がりますが、それでも「メガボンド 2」のプライマーとボンド、フロアブルレジン「クリアフィル マジェスティ ES フロー」、さらにマトリックスシステム「コンポジタイト 3D システム」をすべて合わせても、おそらく1窩洞あたりの修復材料コストは500円を超えることはないでしょう。セラミックインレー等の技工費用と比較すると、その差は歴然です。

  • [写真] 自費診療と保険診療の特徴について、患者さんに説明するためのツール
    自費診療と保険診療の特徴について、患者さんに説明するためのツール。
  • [写真] 待合室
    待合室では、CR直接修復法に関する解説やそのメリットについて紹介する動画が流れている。
  • [写真] CR直接修復を行うために必要な材料
    全ての診療室に、CR直接修復を行うために必要な材料が準備されている。

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