179号 WINTER 目次を見る
Clinical Report
スーパーテーパード毛(Systema)タイプのワンタフトブラシの臨床活用 -「DENT.EX onetuft Systema Short」の導入-
キーワード:ワンタフトブラシ/スーパーテーパード毛/歯周基本治療やSPTのポイント
■目 次
- ≫ はじめに
- ≫ 「DENT.EX onetuft Systema Short」の特長と使い方
- ≫ スーパーテーパード毛(Systema)タイプのワンタフトブラシの活用例
- ≫ 患者さんへの使用感アンケート結果
- ≫ おわりに
■はじめに
口腔内のリスク部位の管理は、歯周基本治療やSPTを行う上での重要なポイントのひとつです。
今回、筆者がご紹介するのは、最近発売されたスーパーテーパード毛(Systema)タイプのワンタフトブラシ「DENT.EX onetuft Systema Short」(図1:ライオン歯科材)です。一般的にワンタフトブラシは歯間ブラシが苦手な方、加齢などにより細かい操作が苦手で歯間ブラシがうまく使えなくなってきた方でも操作しやすく、リスク部位のポイントケアにお勧めのグッズです。
中でも今回ご紹介する「DENT.EX onetuft Systema Short」は、毛先の形状、長さに特長があり、それらをうまく活かすことでリスク部位の刷掃効果を上げることができます。
本稿では、本ワンタフトブラシの特長、使い方・活用事例などをご紹介します。
図1 DENT.EX onetuft Systema Short
■「DENT.EX onetuft Systema Short」の特長と使い方
1)特長
用毛の根元から先端に向かうにしたがって徐々に細くなり、通常毛の約1/20の先端径0.01mmのスーパーテーパード毛は、通常タイプのSystema歯ブラシで歯周ケアに活用されています。そのスーパーテーパード毛をワンタフトブラシに応用したのが「DENT. EX onetuft Systema」で、これまでも歯周ポイントケアに多くの患者さんに活用いただいています。
今回、従来の「DENT.EX onetuft Systema」( 用毛長さ11.7mm、製品実測値) よりも用毛長さが短いスーパーテーパード毛の「DENT.EX onetuft Systema Short」(用毛長さ10.0mm、製品実測値)が発売されました。従来のものより用毛長さが短いため、植毛部全体がコンパクトで毛先をコントロールしやすくしっかり毛先を当てやすいだけでなく、毛束の反発力が増し毛先のかき取り力が向上しています。
2)基本的な操作のしかた
毛先が超極細のスーパーテーパード毛の長さと当たりの柔らかさを活かした操作が大事です。磨きたい部位に毛先をあて、毛先を潰さないよう、やさしくなでるように動かして使います。
ブラシの先がぐらぐらして不安定な方には脇を締めて磨くようアドバイスするといいでしょう(図2)。脇を開いたままでは、持ち手が安定せず細かい部位へのブラシのコントロールが難しくなります。脇を締めるようにすると動作の支点がしっかり固定され毛先のコントロールがしやすくなるため、格段に磨きやすくなります。
また、狭い臼歯部では、頰側から磨くときにワンタフトブラシのヘッド部の角で頰粘膜を広げてスペースを確保しながら(図3)毛先を目的部位に当てるようにするとコントロールしやすくなります。
3)ワンタフトブラシが特に有効な患者
概ね、どの世代にもお勧めすることが可能ですが特に臼歯部などで歯間ブラシを上手に歯間に挿入することが難しい方、歯間へ挿入して上手く動かすのが苦手な方や、以前は歯間ブラシを使っていたが加齢や病気、障害などにより指先の細かな操作ができなくなってきた方などにも適しています。
4)適応部位
スーパーテーパード毛のワンタフトブラシ「DENT.EX onetuft Systema Short」の利点を活かせる代表的な部位を以下に挙げます。
① 最後臼歯遠心面
通常タイプの歯ブラシでは届きにくい臼歯部遠心面にも、コンパクトなワンタフト(一束)であること活かし、確実に毛先を届かせることができます(図4)。
② 舌側から歯間ブラシを入れにくい歯頸部、歯間部(図5~7)
スーパーテーパード毛の毛先の細さとブラシ自体の操作性の良さを活かして、歯間部などに毛先を挿入しササっと掃くようにケアできます。
③ ブリッジやポンティックの下、インプラント部(図8~10)
ブリッジやポンティックの下など、インプラント部などのケアに、毛先の細さとしなやかさを活かしながら、用毛長さを短めにした「DENT.EX onetuft Systema Short」の操作性と毛先かき取り力が威力を発揮します。
④ 深い歯周ポケット(図11、12)
歯頸部に沿って毛先を当てた時に、歯周ポケットの入口に沿って薄く毛先が広がることを活かして歯周ポケットに毛先を挿入し、歯周ポケットの奥まで毛先を到達させケアします。
また、歯周ポケット内の出血や浮遊プラークなどは、毛束を挿入することにより毛細管現象で浮き上がってきますので、除去しやすくなります。
このような使用方法の際には菌血症予防のためにも歯周病原細菌に対する殺菌効果の高い「Systema薬用歯間ジェル」(ライオン歯科材)の併用をおすすめしています。
⑤ 露出した根分岐部(図13)
歯ブラシや歯間ブラシでは露出した根分岐部に毛先を十分に到達させケアすることはなかなか困難です。
スーパーテーパード毛のワンタフトブラシであれば、用毛長さを活かして分岐部に届き、やさしくケアできます。
特に、根分岐部病変が進んでいるほどトンネル部が深くなってケアしにくくなるだけに、ワンタフトブラシの細くて長い毛先が有利です。
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