188号 SPRING 目次を見る
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【モリタが提案するDX】第4回:モリタが目指すこれからの歯科医療システム 歯科診療支援システム 「myDentalAI」が目指すもの
目 次
- ≫ ■ 歯科におけるDXの現状
- ≫ ■ 歯科診療支援システム「myDentalAI」
- ≫ ■「 myDentalAI」が目指すもの
- ≫ ■ 大阪大学歯学部附属病院 特診室での取り組み
- ≫ ■ 将来的な歯科教育への活用
- ≫ 多様な最適解に柔軟に対応
これまで3回にわたり、モリタが提案するDXと実際の運用ケースをお届けしてきました。最終回となる今号では、歯科医療におけるさまざまな課題を解決するため、2020年から大阪大学歯学部附属病院とモリタがタッグを組んで研究開発を続けている「myDentalAI(マイデンタルAI)」の取り組みの概要についてご紹介します。
第2回:会計から問診まで(実践事例)
第3回: 診査診断からセルフケア説明まで(実践事例)
第4回: モリタが目指すこれからの歯科医療システム
■ 歯科におけるDXの現状
歯科業界では、超高齢社会におけるフレイル対応をはじめとした社会的課題に対する歯科医療の重要性が高まっていますが、課題解決のためのデータ蓄積が十分とは言えない状況です。
こうした現状に対して「歯科医療」「医療機器」「情報機器技術」を融合することで、歯科診療状況データの生成・収集・蓄積ならびに利活用を行い、診療の効率化と安全性向上、診療支援機能の充実、さらには歯科教育への貢献を目指すことが喫緊の課題です。歯科において、これら3つの融合を実現するカギは「産学連携」、具体的には、歯科大学と医療機器メーカーなどがタッグを組むことが不可欠でした。
■ 歯科診療支援システム「myDentalAI」
大阪大学歯学部附属病院とモリタグループは、大阪大学歯学部附属病院が以前から開発中だった画像認識AIに、モリタのIoT機能搭載チェアユニットと、診療空間に複数台のカメラを加え、動作ログやカメラ画像から取得した歯科診療行為すべてをデジタルデータ化。そのデータを学習したAIの開発を目標としたプロジェクトを2020年4月から開始。
このプロジェクトを「myDentalAI」と名付けました(図1)。
現在、AI アルゴニズムの精度をさらに高めるため、2,000症例を目標に精度検証を実施しています。
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図1 歯科診療支援システム「myDentalAI」。大阪大学歯学部附属病院とモリタグループの技術を結集し、研究を続けている。
■「 myDentalAI」が目指すもの
「myDentalAI」では、歯科医療従事者がこれまでマンパワーで行ってきた医療行為や過去の経験から学んだ姿勢・ポジショニングなどを、蓄積したビッグデータやAI、IoTの技術を用いて、右の4つの項目の実現を目指しています(図2)。その項目に沿って以下に解説していきます。
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図2 「myDentalAI」が目指すもの
① 歯科医師のカルテ記載業務を支援
患者さんの治療が完了した時点で、複数のカメラが診た治療内容とチェアユニットのIoTセンシング機能により治療内容を推定し、カルテが自動で草案されます。
図3のように、4台のカメラにより、
・歯科医療従事者の手の動き
・口腔内のインスツルメント状況
・トレー上の器具の使用状況
・歯科医療従事者と患者さん全体の動画
を合わせて解析します。また、歯周検査情報、X線画像などをログとして書き出し、問診票に記載された主訴をもとに部位を特定、さらにチェアユニットのIoTセンシング機能を組み合わせて、治療内容を推定します。
その結果、既往歴、投薬情報のほかマイナンバー情報などと合わせてカルテが自動で草案され、歯科医師は、記載された内容に間違いや漏れがないかを確認し、修正がなければ承認することで、カルテ作成に費やす時間が削減され、これまで以上にチェアタイムに時間を割くことが可能になります(図4)。
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図3 4台のカメラで診療状況などを撮影しAI解析。さらにチェアユニットのIoTセンシング機能を組み合わせて、治療内容を推定する。 -
図4 治療が終わったタイミングで、症例に従ってカルテが自動草案され、歯科医師が確認・承認する。
② 危険を察知しチェアユニットの緊急停止等を支援
治療中に、術者が一瞬視線を外したり、回転器具を使って治療を行っている状況で小児が不意に動いた場合などに、危険を察知してインスツルメントの回転を下げる(停止する)など緊急時の支援を行います(図5)。
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図5 急なアクシデントなどの際に危険を察知し、緊急時支援を行う。
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モリタ友の会会員限定記事
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