188号 SPRING 目次を見る
目 次
- ≫ う蝕
- ≫ 歯周病
- ≫ 矯正治療中
- ≫ 高齢者
- ≫ インプラント・ブリッジ
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フリーランス・
歯科衛生士
萬田 久美子
「Check-Up歯ブラシ」(図1)はラウンド毛とスーパーテーパード毛が交互に植毛されていることが特長です。
以下に、Check-Up歯ブラシを使用した症状ごとのアプローチ方法について症例写真をもとに解説いたします。
■う蝕
プラークは近心隅角や辺縁歯肉付近に残りやすく、OHIが難しい場所です(図2)。同部に対してはCheck-Up歯ブラシを歯面に垂直に当て、小刻みに振動させて磨くスクラビング法を指導することで、先端の表面積が広いラウンド毛で隅角のプラークを、狭い部位に毛先が届き、スーパーテーパード毛で歯肉辺縁や歯間部のプラークを比較的容易に除去することができます(図3、4)。歯磨剤はう蝕予防の観点から1450ppmFのフッ化ナトリウムが配合された「Check-Up standard」(図5)がお勧めです。
図1 Check-Up歯ブラシはラウンド毛とスーパーテーパード毛が交互に植毛されている。ラウンド毛で歯面や隅角のプラークを除去し、スーパーテーパード毛で歯間部など細部のプラークを優しく除去することができる。
図2 染色後の様子。隅角や辺縁歯肉付近にプラークの付着を認める。近心隅角はプラークが残存することが多く、プラークコントロールが困難である。
図3 Check-Up歯ブラシでスクラビング法を行っている様子。先端の表面積が広いラウンド毛でプラークコントロールの難しい隅角部のプラークを、スーパーテーパード毛で歯肉辺縁や歯間部の細部のプラークを除去できる。
図4 Check-Up歯ブラシを使用してプラークコントロールを行った後の状態。歯肉辺縁や隅角部分もプラークを除去できていることが確認できる。
図5 1450ppmFのフッ化ナトリウム配合が配合された「Check-Up standard」。グリセロリン酸カルシウムとピロリン酸四カリウム配合でフッ素滞留性が大幅に向上。約1gの使用を想定し有効成分の配合量を設定。歯ブラシと同じ長さを目安に歯磨剤を出すことで約1gとなる。
図6 歯周病により歯肉が腫脹している部位にCheck-Up歯ブラシを使用し、バス法を行っている様子。スーパーテーパード毛の毛先がポケット内部に入り込み、ラウンド毛が歯肉辺縁付近のプラークを除去する。
■歯周病
とくに注意深くプラークコントロールを行う必要がある部位は歯間部と歯頸部です。歯頸部にプラークが付着していた際のブラッシング方法は、歯軸に対して45度の角度で毛先を当て、毛先が歯周ポケットの中に入るよう意識しながら小刻みに振動させるバス法を指導します(図6)。
■矯正治療中
ブラケットを使用した矯正治療中の患者さんの場合、ブラケット周囲にプラークが溜まりやすいので、タフトブラシや歯間ブラシを縦に入れるなどの指導をされているかと思います(図7)。しかし、アイテムが多くなればそれだけ手間が増えますし、何より患者さん自身が使いこなせなければ難しいという問題があります。Check-Up歯ブラシなら、ラウンド毛がブラケット周りのプラークをしっかり除去、スーパーテーパード毛がブラケット同士の隙間や矯正治療中に発生する歯間部のわずかなスペースに入り込み、汚れを掻き出してくれます(図8)。いろんなアイテムを使って丁寧にケアするのは夜だけにして、日中はCheck-Up歯ブラシだけで磨いてもらうよう指導してみるのも1つの方法です。歯磨剤については、若年層には「Check-Up standard」を、歯周病リスクの高い成人層には「Systema SP-Tジェル」(図9)を提案しています。
マウスピース矯正中の患者さんについては、意図的に歯間部にスペースを設けるIPR(Interproximal Enamel Reduction)などによって、歯間ブラシは入りにくく、フロスでは幅が広すぎるという微妙な隙間ができるケースがよくあります(図10、11)。そうした微妙な隙間にもCheck-Up歯ブラシのスーパーテーパード毛によるアプローチが可能です(図12)。
図7 ブラケット周囲はもっともプラークコントロールが困難である。ラウンド毛のみの歯ブラシだと歯間部や隅角に毛先が届かず磨き残しにつながる。
図8 ブラケット周囲にCheck-Up歯ブラシを使用。ラウンド毛が歯面のプラークを除去し、スーパーテーパード毛が歯間部やブラケットの細部に入り込みプラークを除去。歯間乳頭のクリーピングを促すために、歯間ブラシを通せないようなケースにも使用できる。
図9 バイオフィルムに浸透殺菌する高濃度IPMPが配合された「Systema SP-Tジェル」。歯肉の防御力を高めるビタミンEも配合されているので、ペリオリスクの高い方に使用していただいている。粘度が高いので薬効成分が局所にとどまりやすい。
図10 矯正治療に伴うIPRやディスキングによりコンタクトにわずかな隙間が生じ、隅角と歯間部にプラークが付着している。同部はカリエスのリスクファクターとなる。
図11 隅角と歯間部に4Sの歯間ブラシを使用するが、隙間が狭く、歯間ブラシが挿入できない(左)。同部にフロスを通してみるが、隙間が広くテクニックが必要である(右)。
図12 隅角と歯間部にCheck-Up歯ブラシを使用している様子。ラウンド毛が隅角のプラークを捉え、スーパーテーパード毛が歯間部に入り込み細部のプラーク除去する。
■高齢者
高齢の方の場合、ドライマウスによって唾液の分泌量が減少し、頑固なプラークが付着している方や、歯肉退縮により歯根が露出している方が多く見られます。Check-Up歯ブラシのスーパーテーパード毛は複雑な形態の歯根面に毛先を沿わせることができ、頑固なプラークに対してはラウンド毛でしっかり除去することができます。また、高齢者はペングリップで歯ブラシを把持することが難しい場合もあります。Check-Up歯ブラシのラバーハンドルはすべりにくいためパームグリップにも適しています。歯磨剤は高齢者に多い根面う蝕の予防を期待して「Check-Up rootcare」を提案しても良いと思います。
■インプラント・ブリッジ
インプラント上部構造の基底部や歯肉との境目にプラークが残留することが多いので、基底部には入り込みやすいスーパーテーパード毛で、それより上の部分はラウンド毛でしっかりプラークを除去することが大切です。また、ブリッジのポンティック部は支台歯よりも形態が少し小さくプラークが溜まりやすいので、“突っ込み磨き”をお勧めするのが良いでしょう。歯磨剤は天然歯の状態に合わせて、歯周病リスクが高ければ「System SP-Tジェル」を、う蝕リスクが高ければ「Check-Up
standard」を選びます。
上記を参考にしながら、Check-Up歯ブラシの特性を理解し、患者さんの症状に合わせた指導へとつなげていただければ幸いです。
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