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Clinical Report
CAD/CAMシステムを用いたCRインレー修復(CAD/CAMインレー)を行う際の要点について
キーワード: CAD/CAMインレーの定義と適応/窩洞形成/接着操作
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CAD/CAMインレーの定義と適応
臼歯部の複雑窩洞修復においてコンポジットレジン(以下、CR)を用いた直接法が選択されることは、近年急速に普及してきており、そのこと自体は「Minimal Intervention Dentistry」の観点からも歓迎されるべきことではあるが、もともと直接CR修復は口腔内における丁寧な接着処理や繊細な充填手技を必要とすべき修復法であり、術者の技量などによって、その予後は非常に大きく左右される。しかしながら実情は、近年高騰し続ける金属修復材料などに代表される治療コストの節約などを優先して、安易に行われていることが少なくない。
そもそも修復治療では、患者の要望や経済性だけでなく、修復範囲や処置の難易度に対して、① 安定した咬合関係が修復部位以外でも確立されているか、② 適切な接触点・接触圧・解剖学的形態の付与が術者の修復操作・手技で可能か、③ 口腔内で重合や硬化が十分に行え、収縮などの変化にも対応できるか、④ 咬合面・隣接面における咬耗・磨耗などに 修復材料は経時的に対応可能か、などといった点について、術者自身の技量・オプションなども併せて検討することで、最適な修復法を選択すべきである。安直にその場しのぎの修復を続けていれば、それらの予後は決して期待できず、場合によっては早期の再介入はおろか、歯の寿命を縮めてしまう恐れすらある。
一方、歯科医療におけるCAD/CAM技術の応用は急速に進み、健康保険適用治療においても例外ではない。
「歯科用CAD/CAMシステムを用いたハイブリッドレジンによる歯冠補綴」の先進医療承認(2009年)を嚆矢として、小臼歯(2014年)、大臼歯(2017年)、そして前歯(2020年)と、その適用範囲は拡大されてきた(図1)。
そして2022年4月、「CAD/CAMシステムを用いたCRインレー修復(以下、CAD/CAMインレー)」の健康保険適用が開始された。
その算定条件としては「歯科用CAD/CAM装置を用いて、小・大臼歯部における隣接歯との接触面を含む窩洞(複雑なもの)に対して歯冠修復物(全部被覆冠を除く)を設計・製作し、装着した場合」であるが、「窩洞形成後に従来通り印象採得及び咬合採得を行い、得られた作業模型ありきで間接法での製作に限る」とされており、大臼歯では(上下顎両側の第二大臼歯が全て残存して左右の咬合支持があり、過度な咬合圧が加わらない場合等において)第一大臼歯にのみ認められている(図2)(※金属アレルギーの診療情報提供を受けていれば、第一・第二大臼歯とも適用可能)。
従来のインレーに比べ、CAD/CAMインレーの技術料(750点)や材料料(931~1100点)は比較的高く設定されており(図3)、装着時に歯質接着性の向上を目的とした内面処理を行った場合は45点を加算できる。
ただしCAD/CAM冠と同様、保険医療機関としてあらかじめ施設基準を届け出た上で、部位に応じた規定のCAD/CAM用ブロックを用いて作製し、添付のトレーサビリティシールを装着後も保管・管理することが必要である(図4)。
このブロックはクラレノリタケデンタル製の場合、シランカップリングなどの表面処理を行った超微粒子フィラー(軽質無水ケイ酸/酸化アルミニウム混合フィラー、バリウムガラスなど)を超高圧下でのプレスによりブロック化した上で、UDMAなどのメタクリル酸系レジンモノマーを含浸させ、工業的に重合したものである。
いずれも成分的には従来の直接/間接修復用CRと同じような組成ではあるものの、口腔内や卓上での光照射で重合・硬化させたそれらと比べれば、遥かに重合率が高く、緻密な構造、優れた機械的強度、表面滑沢性、そして耐久性を有する(図5)。
図1 「歯科用CAD/CAMシステムを用いたハイブリッドレジンによる歯冠補綴」の変遷。-
図2 CAD/CAMを用いた歯冠補綴の適応範囲と対応材料、点数の一覧(2022年4月時点)。 -
図3 健康保険適用治療におけるインレー修復の点数一覧(2022年4月時点)。 -
図4 保険医療機関としての施設基準届出書(図左)、CAD/CAM用ブロック添付の「トレーサビリティシール」(図右)。 -
図5 CAD/CAM用のブロックは、直接修復用CRとほぼ同じ成分構成である。
図6 咬合面への荷重と隣接面付近に生じる反作用力が拮抗することで、ねじれ・たわみがイスムスに集中する。
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