会員登録

185号 SUMMER 目次を見る

Clinical Report

接着性レジンセメントを用いたCAD/CAM冠装着とセメント除去のポイント~術者とアシスタントの『スーパーボンド®EX』トリセツ~

医療法人 八木歯科(滋賀県大津市) 院長 八木 正樹/歯科衛生士 豊田 真未

キーワード:CAD/CAM冠装着/アシスタントとの連携/余剰セメント除去

目 次

はじめに

八木:CAD/CAMシステムを用いた歯冠修復が保険導入されたことにより、保険で行う治療の選択肢が増えてきました。当院でもCAD/CAM冠を用いた補綴を行っていますが、導入初期にはガイドラインに沿った処置を行ったにも関わらず、数回の脱落を経験したことがあります。CAD/CAM冠の脱落などのトラブルについては多くの研究報告1~3)があり、同様の経験をされた先生も多いのではないでしょうか。
筆者がまだ試行錯誤を繰り返していた頃、恩師からCAD/CAM冠の装着に「スーパーボンド」を勧められました。その後、自身でも検証し4)有用性を感じたため、それまで使用していたデュアルキュア型レジンセメントから切り替えることにしました。それから現在までの5年間、相当数のCAD/CAM冠を「スーパーボンド」で装着してきましたが、一度も脱落を経験していません。一方で「スーパーボンド」は操作が煩雑というイメージがあるのも正直なところです。本稿では、操作性の面から「スーパーボンド」の使用を躊躇している先生のために、当院での使用方法について紹介したいと思います。

スムーズな診療のために

豊田:スムーズな診療を行うためには、術者とアシスタントの連携が欠かせません。来院患者の情報共有はもちろんのこと、使用する材料についても両者が十分に理解していることが理想です。しかし実際には、目の前のアシスタント業務に追われ、材料の知識習得は後回しになりがちです。
八木: 当院ではポリマー粉末「混和クリア」を使用していましたが、現在は2021年に発売されたポリマー粉末「EXクリア」5、6)を使用しています。このように、使用する材料を変更した場合にも術者とアシスタント間で情報を共有することが大切です。ここで、改めて『スーパーボンド®EX』の特長を整理し、連携を図る上で必要な知識を共有します。

『スーパーボンド®EX』とは

八木: ここでは『スーパーボンド®EX』を用いたCAD/CAM冠装着時に必要なポイントを共有します。
◎基本構成はキャタリストV、モノマー液、ポリマー粉末の3つ(図1)で、従来のスーパーボンドと同じです。
◎混和法を行う場合、図1の3つを混ぜたものを混和泥と言います。混和泥は、初めはゆるい泥状ですが、時間と共に徐々に粘度が上がります。粘度が上がるスピードは室内の温度が高いと速くなります(※つまり、温度によってコントロールできるということです)。
『スーパーボンド®EX』は基本構成の3つのうち、ポリマー粉末の粒形や粒径を最適化する改良がなされています。これにより筆積性が向上し、混和法での使用時には適度な流動性のある混和泥の操作時間が十分に確保できるようになりました。また『スーパーボンド®EX』ユニバーサルセットには、メタルとセラミックス(レジン等も含む)に使用できる前処理材「M&Cプライマー」(図2)が入っています。歯質以外の全ての被着面はこの1種類で処理できるようになり、在庫管理が楽になりました。
豊田:あらかじめ材料について理解しておくと、スムーズな診療補助ができ余裕を持った診療が行えます。そこで、術者とアシスタントの連携に着目した実用的なトリセツを作成しました(図4)。このトリセツは新人スタッフの教育にも活用できます。

  • [写真] 『スーパーボンド®EX』ユニバーサルセットの基本構成品
    図1 『スーパーボンド®EX』ユニバーサルセットの基本構成品
  • [写真] 『スーパーボンド®EX』の前処理材
    図2 支台歯に象牙質と歯質以外の材質(レジン等)が混在している場合の表面処理の順番は、「ティースプライマー」→「M&Cプライマー」の順で行う。
  • [写真] トリセツ
    図4 トリセツ

この記事はモリタ友の会会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

残り 1805 文字

モリタ友の会有料会員に登録する ログインする

目 次

モリタ友の会会員限定記事

他の記事を探す

モリタ友の会

セミナー情報

セミナー検索はこちら

会員登録した方のみ、
限定コンテンツ・サービスが無料で利用可能

  • digitalDO internet ONLINE CATALOG
  • Dental Life Design
  • One To One Club
  • pd style

オンラインカタログでの製品の価格チェックやすべての記事の閲覧、臨床や経営に役立つメールマガジンを受け取ることができます。

商品のモニター参加や、新製品・優良品のご提供、セミナー優待割引のある、もっとお得な有料会員サービスもあります。