会員登録

196号 SPRING 目次を見る

Field Report

ブラケット矯正治療におけるセルフケアの重要性

広島市中区 GOSI矯正歯科 院長 伊藤 剛志

PDFダウンロード

  • [写真] 広島市中区 GOSI矯正歯科 院長 伊藤 剛志
    広島市中区
    GOSI矯正歯科
    院長 伊藤 剛志

2015年の開業から10年が経過し、当院の治療は大きく変化しました。開業当初、患者さんは10代を中心とした若年層が多く、永久歯を正しく萌出させるためのスペースを確保する小児矯正治療が中心でした。ところが、近年では30~50代の患者さんが急増。その世代の多くが歯周病に罹患しているため、治療の主眼も自然と歯周病対策へと移り、矯正治療も「歯周病をこれ以上悪化させないこと」が前提になりました。歯並びを整えることで清掃性を高めながら、歯周病の改善も視野に入れ、日々の診療を行っています。
当院では、アライナー矯正以外では、ラビアル矯正とリンガル矯正という2つのブラケット矯正を行っています。どの装置も骨の代謝機能を利用して歯を動かす原理は同じです。ただ、それぞれに特徴があるので、患者さんの希望やライフスタイル、歯列・骨格を踏まえて専門医が判断し、最適な方法を提案することが大切です。
口腔ケアについては、矯正装置の種類にかかわらず、磨き残しが目立つ部分は共通しています。特に歯とブラケットの境目やワイヤーの裏側、抜歯した歯の隣接面などは、総じて磨き残しが多く注意が必要です。当院では矯正装置を装着した後に、オリジナル動画をお見せしてセルフケアの重要性を伝え、実際に磨いてもらった上で染め出しを行い、磨き残しを可視化しながら指導を行っています。また、手磨きだけでは清掃が不十分な部分を補うため、口腔洗浄器「コードレスパワーフロッサー3000」(以下:パワーフロッサー)や音波歯ブラシ「ソニッケアー」などのセルフケアアイテムの使用もお勧めしています。特に「パワーフロッサー」は有効で、X型の水流がブラケット周囲やバンド部位の下面、コイルスプリングの隙間などに溜まった食物残渣を強力に洗い流します。手磨きとフロスを丁寧に行った後でも「パワーフロッサー」を使用すると食物残渣がポロポロと出てきて、多くの患者さんが驚かれます。ご自宅では、弱い水圧から始め、浴室などで使用いただくようにお伝えしています。一方、歯間ブラシは鼓形空隙が広い人以外には積極的に勧めていません。強くこすりすぎて歯肉を傷つけ、歯肉増殖を起こしている人が多いためです。
[写真] GOSI矯正歯科の皆様 「ソニッケアー」に関しては、歯に沿わせて軽く当てることで磨けるのがメリットと感じています。手磨きでは磨きにくい最後臼歯の遠心や口蓋側なども、その部位にブラシを軽く当てると汚れを落とせますし、過圧防止センサーも、ブラッシング圧が強い方には有効です。ただし、ブラシヘッドを正しい位置に導く必要があるので、私は「勝手に動いて掃除をしてくれるロボット掃除機ではなく、“電気ほうき”だと思ってください」と説明し、徹底して正しい当て方を指導しています。「パワーフロッサー」と「ソニッケアー」の使用順としては、使い始めの時は、まず「ソニッケアー」で磨いた後に「パワーフロッサー」で洗い流すことで、しっかり磨いたはずなのに食物残渣が残っている状態を体感していただきます。その後、使用に慣れてきたら、先に「パワーフロッサー」で汚れを洗い流した後、「ソニッケアー」で磨く方がきれいになる印象があるので、そちらをお勧めしています。その他、唾液分泌を促し、プラークの付着を抑えるため、よく噛んで食べることなど、食事習慣の指導も行っています。
矯正用のフックなどが粘膜に当たって口内炎ができた場合には、口腔用液体包帯「オラプラ」を活用しています。とりわけセルフケア用品の場合は、患者さんにより効果を感じてもらうために、丁寧な指導が欠かせません。
骨の代謝機能を利用して行う矯正治療は、管理不足だと歯周病を悪化させるリスクがあるため、かかりつけ歯科医との連携も重要です。私は矯正開始時にかかりつけ歯科医と連絡を取り、う蝕や歯肉炎、歯周ポケットの状態を共有し、治療中の口腔環境を一緒に見守っていただくようにしています。
矯正治療は、患者さん、矯正専門医、かかりつけ歯科医が三位一体となって進めるチーム医療です。きれいな歯並びをつくるだけでなく、う蝕や歯周病のない良好な口腔環境を長期的に守るためにも、丁寧なセルフケアの継続とかかりつけ歯科医との連携を意識していきたいと考えています。

  • [写真] 「パワーフロッサー」のX型(4方向)に広がる水流
    症例1-1 「パワーフロッサー」のX型(4方向)に広がる水流が、ブラケット周囲のプラークや汚れをしっかりと洗い流す。
  • [写真] ブラケット矯正で使用するバンド部位の下面
    症例1-2 ブラケット矯正で使用するバンド部位は下面に食物残渣が留まりやすい要注意ポイント。歯ブラシが届きにくい箇所には「パワーフロッサー」のX型水流が有効。
  • [写真] 「パワーフロッサー」の水流を上方向から下方向に当てる
    症例2 「パワーフロッサー」の水流を上方向から下方向に当てる際には、水が飛び散りやすいため、浴室などでの使用をお勧めしている。(口を閉じて使用すれば、洗面台でも使用可能) 
  • [写真] 「パワーフロッサー」と「ソニッケアー」使用前の状態
    症例3-1 「パワーフロッサー」と「ソニッケアー」使用前の状態。歯間や歯面、歯頸部など広範囲にわたり、プラークが付着している。
  • [写真] セルフケア後の状態
    症例3-2 セルフケア後の状態。しっかりとプラークが除去できていることがわかる。
  • [写真] 「パワーフロッサー」と「ソニッケアー」使用前の口蓋側
    症例3-3 「パワーフロッサー」と「ソニッケアー」使用前の口蓋側。前歯の歯間部やブラケット周囲にプラークの付着が確認できる。
  • [写真] セルフケア後の状態
    症例3-4 セルフケア後の状態。前歯の舌側など、手磨きでは磨きにくい部位に付着したプラークもしっかりと除去できている。
  • [写真] 抜歯した歯の隣接面
    症例3-5 抜歯した歯の隣接面もプラークの付着率が高い箇所であり、「パワーフロッサー」と「ソニッケアー」を用いたセルフケアが有効。
  • [写真] 「パワーフロッサー」と「ソニッケアー」使用前の状態
    症例4-1 「パワーフロッサー」と「ソニッケアー」使用前の状態。前歯口蓋側を中心に、全体的に磨き残しが目立つ。
  • [写真] 「パワーフロッサー」と「ソニッケアー」を併用後の状態
    症例4-2 「パワーフロッサー」と「ソニッケアー」を併用することで、全体的にプラークを除去することができた。
  • [写真] 矯正用のフックに接触することで起こる粘膜損傷や口内炎
    症例5-1 矯正用のフックに接触することで起こる粘膜損傷や口内炎には、「オラプラ」による傷口の保護をお勧めしている。
  • [写真] 「オラプラ」を口腔粘膜に塗布
    症例5-2 「オラプラ」を口腔粘膜に塗布すると、唾液と反応して被膜を形成し、患部表面を保護する。

目 次

モリタ友の会会員限定記事

他の記事を探す

モリタ友の会

セミナー情報

セミナー検索はこちら

会員登録した方のみ、
限定コンテンツ・サービスが無料で利用可能

  • digitalDO internet ONLINE CATALOG
  • Dental Life Design
  • One To One Club
  • pd style

オンラインカタログでの製品の価格チェックやすべての記事の閲覧、臨床や経営に役立つメールマガジンを受け取ることができます。

商品のモニター参加や、新製品・優良品のご提供、セミナー優待割引のある、もっとお得な有料会員サービスもあります。