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196号 SPRING 目次を見る

Clinical Report

新世代の多機能レジン充填材料の臨床応用「ボンドフィルSB®Ⅱ」の効果的な臨床応用

荻窪わかまつ歯科 院長 若松 尚吾

キーワード:
Stress Buffer 機能/新たな5つの特長/多目的に幅広い症例に対応

目 次

はじめに

2011年から発売されている「ボンドフィルSB」シリーズは歯科充填用アクリルレジンに分類される製品で、4-META/MMA-TBBレジンセメント「スーパーボンド」の重合機構を応用した高い接着性と辺縁封鎖性、アクリルレジン特有のしなやかな物性によるStress Buffer機能を持ち(図2)、従来のコンポジットレジン修復では困難とされた症例にも適応できる充填材料である1)
2017年にリニューアルした「ボンドフィルSB プラス」は、光重合能を加えたことで操作性が改善されただけでなく保険材料の区分が歯科充填材料Ⅰに更新されたことで、従来の歯科充填材料と同じように使用できるようになった。そして2024年2月、「ボンドフィルSB」シリーズの技術がさらなる進化を遂げ、「ボンドフィルSBⅡ」としてリニューアルされた(図1)。
「ボンドフィルSBⅡ」は、従来からの優れた諸性能(表1図3)とStress Buffer機能という核心的特長を継承しつつ、より使いやすく、多目的で幅広い症例に対応できるよう、新たに以下の5点の特長が追加された。
それは、①硬化待ち時間の短縮(表2)②操作性の向上(図4) ③マルチシェード(図5) ④適用範囲の拡大、そして⑤X線造影性の付与(図6)である。本稿では、これらの新たな特長が、いかに日々の診療を効率的かつ確実なものに変えるかについての有用性を詳述し、さらに具体的な臨床症例を供覧する。

  • [写真] ボンドフィルSBⓇⅡセット
    図1 「ボンドフィルSBⅡセット」
  • [写真] ボンドフィルSBⓇⅡとサンメディカルフロアブルレジンとの比較
    図2 複雑な応力が加わる部位への適用においても、適度な柔軟性により、充填物の脱離や破折を防ぐ。(提供:サンメディカル株式会社)
  • [写真] 色素侵入試験
    図3 色素侵入試験。良好な辺縁封鎖が確認できる。(提供:サンメディカル株式会社)
  • [表] 微小引張接着強さ(MPa)
    表1 歯質に対する高い接着性。光が届きにくい症例でも硬化する。(提供:サンメディカル株式会社)
  • [表] 硬化待時間
    表2 操作可能時間は変わらず、硬化待ち時間が大幅に短縮。(提供:サンメディカル株式会社)
  • [写真] ボンドフィルSBⓇプラスとボンドフィルSBⓇⅡの比較
    図4 筆積み性の向上と垂れ性のコントロールにより、充填の際に形が崩れにくく築盛しやすい。(提供:サンメディカル株式会社)
  • [写真] 様々な歯冠色に対応する「マルチ」と遮蔽性のある「オペーシャス」
    図5 様々な歯冠色に対応する「マルチ」と遮蔽性のある「オペーシャス」(提供:サンメディカル株式会社)
  • [写真] X線画像
    図6 色調適合性にも優れた造影性フィラーを配合。アルミニウム100%相当のX線造影性がある。(提供:サンメディカル株式会社)

新たに追加された5点の特長

①硬化待ち時間の短縮(光重合併用)

「ボンドフィルSB」は重合触媒TBBを主とした化学重合であったが、「ボンドフィルSB プラス」にリニューアルした際に、光重合能を付与しデュアルキュア化したことで、硬化待ち時間が7分程度まで短縮された。今回のリニューアルではさらに短縮され、20秒の光照射により硬化待ち時間が3分となった。硬化待ち時間が短くなったことは、複雑な隣接面形成や咬合面を即座に修正したい場合に大きな効果を発揮する。チェアタイムを削減できるだけでなく、開口時間を減らすこともでき、術者・患者ともにストレスフリーな診療環境を実現することができる。

②操作性の向上(筆積性と垂れ性を高度にコントロール)

これまでの「ボンドフィルSB」は、筆積法で充填したレジンの形態を維持することが難しいという課題があった。「ボンドフィルSBⅡ」は、独自のポリマー技術で筆積性と垂れ性を高度にコントロールしたことにより、充填したレジンの形が崩れにくく、しっかりと形態を維持することができるため、積層や隣接面のカーブの再現が各段に容易となった。この優れた操作性は、充填が難しい症例において、精度の高い修復を可能にすることができると考えている。その一方で、濡れ性を向上させたい場合には、予め少量の活性化液(「液材」と「キャタリストV」の混合液)を窩洞内に塗布することで、隅々までレジンを充填することができる。

③マルチシェード

これまでの「ボンドフィルSB」シリーズでは、4色の「粉材」を用いて色調を再現していたが、「ボンドフィルSBⅡ」は色調適合性に優れた造影性フィラーを配合したことにより、「粉材(マルチ)」と「粉材(オペーシャス)」の2色のラインナップとなった。「粉材(マルチ)」は単一のシェードで様々な歯冠色に対応し、隣接歯との色調不一致を抑え、自然な仕上がりを実現する。また、変色した歯質や金属色をマスキングするのに適した「粉材(オペーシャス)」も用意されている。充填だけでなく審美的な回復も同時に行いたい症例において、よりシンプルかつスピーディーに治療ができるようになった。

④適用範囲の拡大

「ボンドフィルSB」シリーズが持つ高い接着性と良好な封鎖性は、歯科用接着充填材料としてのみならず、様々な臨床応用が期待されていた。今回のリニューアルでは、2011年の発売からの実績と信頼性により、歯科動揺歯固定用接着材料、 高分子系ブラケット接着材という一般的名称を追加で取得したことで適用範囲が拡大した。上記の認可は、「ボンドフィルSBⅡ」の筆積性と垂れ性の改良と硬化待ち時間を短縮したことにより、実臨床でも十分に使用できる材料であることが認められたためだと考えている。
特に矯正治療においては充填したレジンの形態が崩れにくいためブラケットの位置決めが容易であり、光照射による初期硬化が早いため装着位置がずれることもなく、今後のブラケット装着を行う接着材料として第一選択になりうると考えている。

⑤X線造影性の付与

これまでの「ボンドフィルSB」シリーズは、X線造影性がなかったため、充填後のレントゲン撮影では、内部気泡の有無や辺縁の適合状態、充填部位下での二次う蝕の有無などを正確に診断することが難しかったが、今回のリニューアルで新しく色調適合性にも優れた造影性フィラーを配合したことにより、それらの問題は克服された。
X線写真の撮影によって、経過観察できることは長期的な予後観察を容易にし、患者との信頼関係を維持することに寄与すると考えている。

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