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CPCとIPMPを併用した洗口液のプラークコントロール作用
キーワード:
プラークコントロール/バイオフィルム形成抑制/洗口液
目 次
- ≫ 1. はじめに
- ≫ 2. 歯周病予防におけるプラークコントロールの重要性
- ≫ 3. 洗口液を活用した化学的プラークコントロール
- ≫ 4. 当社の取り組み ~バイオフィルム形成抑制作用を有する洗口液~
- ≫ 5. CPCとIPMPを併用した洗口液のバイオフィルム形成抑制作用の検証
- ≫ 6. おわりに
1. はじめに
超高齢社会を迎えた我が国において、口腔の健康維持はQOL向上の重要な要素となっています。令和6年の歯科疾患実態調査によると、8020達成者の割合は61.5%と推計され、高齢者の現在歯数は年々増加傾向にあります1)。
一方、現在歯数の増加に伴い歯周病の罹患リスクが高まるため、予防に向けたケアはより一層大切になります。
2. 歯周病予防におけるプラークコントロールの重要性
歯周病は、バイオフィルムが原因となり発症・進行する慢性炎症性疾患であり、その治療・予防の基本がプラークコントロールです2)。
プラークコントロールは、プロフェッショナルケアで成熟したバイオフィルムを除去することが中心となりますが、整えた歯周環境をセルフケアで維持することも重要です。つまり、セルフケアではバイオフィルムの形成を抑制することが鍵となります。
そして、それを実現するためには、ブラッシングによる機械的プラークコントロールを軸としつつ、薬剤を用いた化学的プラークコントロールを補助的に組み合わせることが重要であると考えています。
3. 洗口液を活用した化学的プラークコントロール
バイオフィルムの形成を抑制するためには、頻度高くケアをすることが大切です。
しかし、ブラッシングはその煩雑さや外出先の環境が影響するため、今以上に実施頻度を増やすことは患者さんにとって高いハードルとなります。
そこで、患者さんが無理なく取り入れられるセルフケアアイテムとして、漱ぐだけの簡便な使用方法であり、水場さえあれば使用可能な洗口液に着目しました。
殺菌剤を配合した洗口液は、歯肉縁上プラークの量を有意に減少させることができるだけでなく、間接的に歯肉縁下プラークの抑制にも寄与することが報告されています3)。
このような科学的根拠に基づき、洗口液を有効活用することで、より効果的なプラークコントロールが期待できます。
4. 当社の取り組み ~バイオフィルム形成抑制作用を有する洗口液~
口腔内には、唾液中を漂う浮遊性細菌や、複数種の細菌が歯周ポケット付近などにコミュニティを形成し、薬剤に対する抵抗性を獲得したバイオフィルムが存在します。
塩化セチルピリジニウム(CPC)は、浮遊性細菌に対する高い殺菌力を有し(図1)4)、歯肉炎予防の洗口液に配合される代表的な殺菌剤です。
しかし、正電荷を持つCPCは、負電荷を持つバイオフィルム表層に吸着するため、内部に浸透しにくい性質を持ちます。
一方、イソプロピルメチルフェノール(IPMP)は、バイオフィルムの内部まで浸透することができる殺菌剤の1つです(図2)4)。これは、IPMPが電荷を持たず親水性と疎水性の中間の性質を持つことに起因すると考えています。
そこで、CPCとIPMPを組み合わせた洗口液は、双方の特性を活かすことで、より広範な殺菌作用を示し、バイオフィルムの形成を抑制するのではないか、と考えました(図3)。
今回、CPCとIPMPを併用した洗口液のバイオフィルム形成抑制作用についてご紹介します。
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![[写真] 浮遊性細菌に対する殺菌力の比較](/academic/dentalmagazine/wp-content/uploads/sites/2/2026/04/196-21_photo01.png)
図1 浮遊性細菌に対する殺菌力の比較 -
![[写真] バイオフィルムに対する浸透殺菌力の比較](/academic/dentalmagazine/wp-content/uploads/sites/2/2026/04/196-21_photo02.jpg)
図2 バイオフィルムに対する浸透殺菌力の比較 -
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![[写真] バイオフィルムの形成過程とCPCおよびIPMPの作用ポイント](/academic/dentalmagazine/wp-content/uploads/sites/2/2026/04/196-21_photo03.jpg)
図3 バイオフィルムの形成過程とCPCおよびIPMPの作用ポイント
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