＜林美穂 理事長＞
当院では、おもに歯周病治療の際にEr:YAGレーザーを活用することが多く、とくに外科処置で感染性肉芽組織を掻爬するケースには必ずと言っていいほどEr:YAGレーザーを使用しています。
手用インスツルメントだけではきれいに除去することが難しいような骨にこびりついた感染性肉芽組織も、きれいに短時間で除去できますから、オペの際に必ずチェアサイドに準備しておくツールの一つになっています。
他にもインプラント粘膜炎やインプラント周囲炎をはじめ、歯肉が腫脹しているケースや歯周病の急発、再生治療、SPT期に炎症が見られ再治療を行うケースなどにもEr:YAGレーザーを活用しています。さらに、当院では高齢の患者さんのなかで、服用薬の影響をはじめ、さまざまな理由によりフラップを開けて骨を露出させるようなオペが難しいケースもあります。そのような場合にEr:YAGレーザーを活用して消炎処置をはかることも多くなっています。
また、近年海外ではEr:YAGレーザーがもつ殺菌効果に着目し、根管治療に応用するケースも散見されることから、私もその動向を注視しているところです。
私が日々診療でEr:YAGレーザーを使用する際に留意している点として、Er:YAGレーザーは水へ吸収された際の体積膨張による爆発のエネルギーを利用してパワーを出していきますから、水に対する扱いがとても重要だと感じています。Er:YAGレーザーから注水されている水をバキュームで吸いすぎてしまうと威力が低下してしまうので、治療部位のすぐ近くにバキュームを置かない、治療部位に注水が届きにくい場合はスリーウェイシリンジで水をかけてもらうなど、そのあたりはアシスタントとの連携が必要になるでしょう。
また、照射したい部位との距離の取り方も大切で、患部にチップを接触させすぎると、チップの消耗も早くなりますので、ほんのわずかな調整なのですが、この点にも注意が必要です。それ以外は思ったほどテクニックセンシティブな部分も少ないと感じています。
導入当初は、精密機器ということで少しのことですぐに故障してしまうイメージを抱いていましたが、今までこれといった故障や不具合もなく、毎日快適に使用しています。いざ使おうという時に、特別な準備をすることもなくスイッチ一つですぐに使い始められるのがいいですね。
さらに、Er:YAGレーザーの使い勝手について、私がいちばん気に入っているのがスイングアームの部分です。伝送チューブはファイバー製で柔軟性があるので、術者が狙いたい部分にフレキシブルに動いてくれますし、ハンドピースを置くハンガーは向きが変えられるので使わないときは邪魔にならないよう収納できます。ホルダー部分にはマグネットが入っているので、ハンドピースをラフに置いても落下する心配がありません。私の場合、繊細なオペなどでは、術野から目を逸らさずにホルダー付近でハンドピースを思わずパッと手を離すように置いてしまうことがあるのですが、そんなふうに乱暴に置いてもマグネット入りのハンガーが吸い付くようにホールドしてくれるので、戻す時に気を遣わずオペに集中でき、とても助かっています。
モリタのEr:YAGレーザーはこうした細かな部分まで配慮が行き届いていて、まさに“メイドインジャパン”ならではのこだわりを感じます。

＜藤本和泉 歯科衛生士＞
定期的なメインテナンスで来院された場合、患者さんの口腔内を最初に診るのは私たち歯科衛生士です。その気概を持って、前回来院時の状態からの変化や異常を見逃さないよう常に神経を集中させてチェックしています。そして、少しでも変化や異常を感じたら、前回とどの部分がどのように違うのかを自分の頭の中で整理して、先生に対して的確な「報告・連絡・相談」を行うようにしています。その後、先生が口腔内を確認され、必要があればEr:YAGレーザーを使って処置していただいています。Er:YAGレーザーでの処置中は、お水が出たり、多少なりとも音が出たりもしますが、特に患者さんが不快感や痛みを訴えられることもなく、快適に使えていると感じています。

＜林美穂 理事長＞
Er:YAGレーザーを処置で使用すると、やはり術後の治り方が早く、きれいに治りやすいと感じています。特に歯周病急発の際は、処置が終わった段階から痛みが引き、痛み止め等の服用がなくても済むケースが多くみられます。
これまで当院では、常に患者さんの立場に立った、予知性が高い治療を提供することを診療ポリシーとしてきました。Er:YAGレーザーはそんな私たちが目指す診療スタイルを手助けしてくれる頼もしい相棒だと感じています。

インタビュー動画はこちら