187号 WINTER 目次を見る
Clinical Report
Er:YAG Laser を使った新認可事項に関する“勘どころ”(骨切削、インプラント体に付着した歯石の除去)
キーワード:Er:YAG Laser追加承認事項/Er:YAG Laserを活用した骨切除
目 次
はじめに
Er:YAG Laser Erwinは1996年3月に日本初の歯科用Er:YAG
Laserとして厚生労働省により、硬組織蒸散、歯石の蒸散、軟組織の蒸散、止血、凝固、切開の認可販売を開始され、その後2004年に第2世代のErwin
AdvErLに進化し、同時に対象症例の追加が認可され、①硬組織疾患(う蝕除去、楔状欠損の表層除去)、②
軟組織疾患(歯周ポケットへの照射、歯石除去、ポケット掻爬、歯肉整形、フラップ手術)、③
軟組織疾患(小帯切除、歯肉切開切除、口内炎の凝固層形成、色素沈着除去)が追加承認された。特にう蝕除去に関しては、国内承認を得た唯一の歯科用レーザー機器である。また2011年に、第3世代のErwin
AdvErL
EVOに進化し、その後我々の基礎研究と臨床の実績により2022年3月、念願であったインプラント体に付着した歯石の除去が追加承認され、インプラント周囲炎治療における必須課程であるインプラント表面の除染における応用への道が大きく開けた。
さらにそれに加えて今回、歯周病治療ならびに歯周組織再生治療になくてはならない「骨に対する応用」の安全性が認められ2023年4月、Er:YAG Laser Erwin
AdvErL EVOにおける「骨切除」が追加承認された。今回はこれらの方法のソフト開発者としてこの機会にあらためてポイントを解説する。
Er:YAG Laserの基本
読者においては既にEr:YAG Laserの基本的な知識をお持ちの方もいらっしゃるかもしれないが、あらためてEr:YAG Laserの基礎について少しだけ触れることとする。
波長吸収特性
Laserといえば全て同じと解釈しておられる読者も多いと思うが、実はそうではなく歯科用Laserには代表的なものとしてCO2 Laser、Nd:YAG
Laser、半導体Laser、そしてEr:YAG Laser
などがあり、それらのLaserはそれぞれ固有の波長があり、その波長の違いによってどのような物質にLaserのエネルギーが吸収されるかが異なる。それによってその波長のLaserの特性が決まり、結果どのような治療に有効に使えるかが別れる。図1は、生体の多くを占める水に対する各種Laserの吸収特性を示すものであるが、Laserの中でもEr:YAG
Laserが特異的に水に吸収され、それは他のLaserの10~1,000倍にも及ぶ。この特性により、Er:YAG
Laserのエネルギーが水に吸収される際に、水の急激な気化による体積膨張を起こす。
この物理的な現象を我々は「Er:YAG Laser Water Micro
Explosion」と名付け、その特長としては水がエネルギーを吸収した結果飛散した水分子にはほとんど温度を有していないため、他の波長の
Laserのように「焼く」というような組織に為害作用を引き起こす温度上昇を伴わないのがEr:YAG Laserによる歯科治療への応用の特長である。
図1 Er:YAG Laserは、他の波長に対して特異的に水にエネルギーが吸収される。
Er:YAG Laserの歯科治療への応用の重要ポイント
先述したようにEr:YAG Laser ErwinAdvErL
EVOは厚生労働省から多くの歯科治療への応用を正式に認可されているLaser治療器であるが、残念ながらそれを縦横無尽に使いこなすにはいくつかの基礎知識と手技のコツを理解する必要がある。
まずは、① Laserチップの基本概念と操作、② 症例ごとの使用チップと使用エネルギーの把握、③ Er:YAG
Laserを応用しようとする歯科治療の基本的な知識や技術の習得、まずはこの3つのポイントを身につけることがEr:YAG
Laserを有益に効果的に使いこなすためには必須である。<誌面の制限上、詳細は『インプラント周囲炎はEr:YAG
Laserでこう治す』(クインテッセンス出版)の1章P8~16を参照にしていただきたい>
Er:YAG Laser追加承認の解説および臨床ヒント
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