196号 SPRING 目次を見る
Interview
開業・改装を目指す先生方へのヒントに(1) 院内システム構築の際に最優先で取り組むべきポイントとは
目 次
- ≫ 今回、移転後の院内システムの運用状況についてお話しいただけるようになった経緯をお聞かせください
- ≫ 同じ浜松市内で新たに移転開業された理由を教えてください
- ≫ 移転に伴って、どんな設備投資を行われたのでしょう
- ≫ 端末として、なぜタブレットを選ばれたのでしょう
- ≫ 移転後に導入した中で最も有効と感じられた機器は何でしょう
- ≫ 来院からお帰りまでの現在の流れを簡単にご説明いただけますか
- ≫ 移転前のクリニックと比べて、どんな変化を感じられますか
- ≫ スタッフの皆さんの働き方についてはいかがでしょう
- ≫ 移転後に“賄い飯“に取り組まれていると伺いました
- ≫ 開業・改装の際に最優先で考えるべきポイントは何だとお考えですか
- ≫ 歯科衛生士さんに、院内システム変更後のメリットやIOSの使用感などを伺いました。
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![[写真] 静岡県浜松市 田代歯科医院 院長 田代 浩史](/academic/dentalmagazine/wp-content/uploads/sites/2/2026/04//196-18_staff01.jpg)
静岡県浜松市
田代歯科医院
院長 田代 浩史
長年にわたりコンポジットレジンを用いた接着修復分野の第一線でご活躍されている田代浩史先生。2023年の移転開業では、院内システムを大幅にリニューアルされ、タブレットを活用したデジタルネットワーク環境を実現されました。そのご経験をもとに、これから開業や大規模改装を予定される先生方が、優先して考えるべきポイントについてお話しいただきました。
今回、移転後の院内システムの運用状況について
お話しいただけるようになった経緯をお聞かせください
私は2012年から、コンポジットレジン修復をテーマにした講習会を主宰しています。受講される方が今後開業予定の若い先生が多いためか、開業後の院内システムの運用方法について質問されることが増えてきました。当院では、2023年の移転を機に無線の院内システムを実現していて、「ぜひ実際の運用状況を知りたい」という声を多くいただくようになりました。そこで今回、『デンタルマガジン』の誌面を通じて、当院の取り組みをご紹介することにいたしました。
同じ浜松市内で新たに移転開業された理由を教えてください
クリニックの規模を拡張したかったことが最大の理由です。また、以前のクリニックはバリアフリーができず、駐車場もありませんでした。そこで、駐車場に困らない環境で、かつフラットな広さが十分確保できることが条件でした。当地は、約120坪の広さで、診療室として十分な規模ですし、バックヤードとしての控室も整備すれば、講習会場として使える広さが確保できそうでしたので、移転を決意しました。
移転に伴って、どんな設備投資を行われたのでしょう
まず、院内ネットワークを一新しました。入れ替えにあたっては、どのメーカーのCBCTを選ぶかということと、CBCT画像を見る環境をどのように構築するかが、私の中で最も重要なポイントでした。最も高額な製品はCBCTですから、レセコンシステムや患者管理システムがCBCTと連動して使えることは必須条件です。さらに、それらが無線のネット環境の中で共有できるシステムを構築したいと考えていました。
移転前は、全ての診療室にモニターを設置し、有線で接続していました。それでも悪くはなかったのですが、機動性を考えた時に、タブレット型のパソコンだと、いつでもどこでも必要なデータが見られる環境はとても便利です。また、手元で画面を拡大縮小することで説明しやすいことも魅力でした。数十台のタブレットを無線で運用でき、かつ私が必要とするデータはほぼ全て閲覧、活用できるようなシステムをモリタで組んでくださったことが、今回の院内システム構築の最大のポイントだったと感じています。
モリタのCBCT「ベラビュー X800」は、画質の良さはもちろんですが、運用性と拡張性の高さで選びました。Webブラウザを利用して、CBCT画像だけでなく、口腔内カメラの画像やデンタル、パノラマも患者さんごとのフォルダから選んでタブレットで表示し、すぐに説明に活用できるところが、とても便利だと感じています。このように複数の院内データを一元管理できることは、診療の効率化に大きく寄与します。開業・改装の際は、ぜひ検討すべき最重要課題ではないかと私自身は捉えています。
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![[図] 移転に伴い改装された「田代歯科医院」のレイアウト](/academic/dentalmagazine/wp-content/uploads/sites/2/2026/04//196-18_photo01.png)
2023年、移転に伴い改装された「田代歯科医院」のレイアウト。現在の診療は、およそ治療が40%、メインテナンスが60%の割合になっている。様々なハードウェアを活用して採取されたデータは、タブレットで運用可能なソフトウェアを駆使して医院全体で情報共有されている。(専門業社によるネット環境の整備は必須となる。)
端末として、なぜタブレットを選ばれたのでしょう
診療室内をすっきりさせて、チェアユニットと移動式のワゴンで、全てが完結する体制を作りたかったのです。スタッフ全員で全てのデータを共有できますから、患者さんとのコミュニケーションだけでなく、例えば受付でアポイントを取る際に、その患者さんのフォルダーを開けば、これまでの治療経過や処置の画像・動画などが即座に確認できます。そこで歯科医師が次のアポイントの相談を受けた時に、その場で「インプラントのオペはいつぐらいになりそうだ」とか、「次の処置は〇〇だから、診療時間は○分でいいよ」といった受付とのコミュニケーションツールとしても活用できます。また、歯科医師同士のディスカッションもチェアサイドではなく控室で行えます。そういう意味でタブレットは非常に便利だと感じたのです。さらに、タッチペンを活用することで、例えばパノラマX線写真上に治療計画を書き込み、そのスクリーンショットをデジタルメモに貼り付けておくこともできます。手書きで書いた内容がデジタルデータとして保存できるのは、新鮮でもあり実用的です。カメラも搭載されているので、患者さんの顔貌や顎の動きなどを動画で撮影することもできます。加えて、患者さんに必要な資料をお渡しする場合、以前はパソコン上で加工する手間が必要でしたが、現在は即座にその場で共有できるので、使い勝手が良いと思います。以上のように、単にデータを見るだけではなく、データを採取し、提供するためのツールとしても使えることが、タブレットを選択した理由です。
移転後に導入した中で最も有効と感じられた機器は何でしょう
院内データ総合管理ソフト「Trinity-Core3」がいちばんでしょうか。そこからの流れで予約管理、会計管理、あとはレセプト管理、自動精算へと繋がり、さらに予約患者さんへのLINE通知など、部分的な最適化にとどまらず、「全体最適」を実現できることが、とても魅力的だと感じています。予約の空き状況の問題から、当院ではインターネット予約は未導入ですが、いざ導入するとなればスムーズに対応できる拡張性もあるため、何より将来的に安心感があります。
来院からお帰りまでの現在の流れを簡単にご説明いただけますか
初診の場合、主訴を伺った上で、通常は口腔内写真に加え、パノラマX線、必要に応じてCBCTを撮影します。さらに歯周病検査を行い、それらの資料を「TrinityCore3」で一元管理し、治療計画の簡単なプランを立て、その内容を患者さんに説明します。治療計画を立てた段階で治療の選択肢が出でくるので、臼歯部であれば「金属ではなく白い被せ物ができますよ」とか、前歯部の場合は「保険治療であれば〇〇、自費治療なら〇〇があります」など、事前に準備されたツールをタブレット上でお見せします。そこで患者さんが興味を持たれたり、自宅で検討される場合は印刷してお渡しすることもできます。パンフレットは待合室にも置いてあるので、それを使って説明することも多いですね。ですから現在は、パノラマ・CBCT撮影、歯式入力、口腔内写真撮影、歯周病検査、その後治療計画と説明、という流れが、「TrinityCore3」を中心に全て一元管理され、運用できていると言えるでしょう。当院の場合、モリタの他、以前から委託しているシステム管理会社との協業体制によって院内システムを構築し、現在のところそれがうまく運用できていると感じています。
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![[写真] タブレットと移動式のワゴンで全てが完結するシンプルな診療室](/academic/dentalmagazine/wp-content/uploads/sites/2/2026/04//196-18_photo02.jpg)
タブレットと移動式のワゴンで全てが完結するシンプルな診療室。ワゴンの高さに合わせてそれぞれにタブレット充電専用のコンセントを設けている。 -
![[写真] TrinityCore3](/academic/dentalmagazine/wp-content/uploads/sites/2/2026/04//196-18_photo03.jpg)
これまで別個に保管されていた患者情報が、「TrinityCore3」を介して全て一元管理され、タブレットでいつでも閲覧可能になった。 -
![[写真] タブレットを使用する様子](/academic/dentalmagazine/wp-content/uploads/sites/2/2026/04//196-18_photo04.jpg)
タブレットを使用することで、院内であれば場所を選ばずに患者さんやスタッフ間でコミュニケーションを取ることができる。
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