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Clinical Report

プラークコントロールを口腔細菌叢のバランスの観点から考える

広島すとう歯科・歯周病クリニック 院長 周藤 巧/副院長・歯科衛生士 高山 景子

キーワード: 機械的、化学的プラークコントロール/GK2/口腔細菌叢バランス

目 次

はじめに

歯周治療において、“プラークコントロールの確立”は最も重要かつ基本的な事項であり、すべての治療ステージでプラークコントロールが持続的に確立できていなければ、その後の治療の効果は十分に得られません。
日本歯周病学会「歯周治療のガイドライン2022」においても、“プラークコントロールの確立はすべての治療に優先される”と明確に示されており、歯周治療中はもちろん、メインテナンスやSPTにおいてもプラークコントロールの確立は最重要事項であるといえます。
また、プラークコントロールは機械的プラークコントロールと化学的プラークコントロールに分類され、機械的プラークコントロールを主体とし、化学的プラークコントロールを行うことが有用であるとされています1)。
近年では、口腔細菌叢(口内フローラ)に着目した研究に注目が集まっており、口腔細菌叢と歯周病の関連については様々な研究結果が報告されています。そして、歯周病患者の口腔細菌叢は、歯周病原細菌比率が高いバランス異常(ディスバイオーシス)であり、歯周病の発症・進行には、このディスバイオーシスが関与するということも提唱されています2)。
つまり、口腔内の細菌叢を歯周病原細菌比率の低い状態にするために、機械的及び化学的なプラークコントロールを行うことが歯周治療の成功においては不可欠であるということが言えると考えます。
当院では、以前から歯周治療における機械的、化学的プラークコントロールに対して、Systema SP-Tシリーズを活用してきました。なかでも「Systema SP-T ジェル」は、当院における歯周治療の臨床において欠かせない存在となっています。この度、現行の「Systema SP-T ジェル」から「Systema SP-T ジェル Plus」へと改良が行われ、新たにグリチルリチン酸ジカリウム(GK2)が配合されたことで、口腔内の細菌叢のバランスを整えることが可能となり、歯周治療のさらなる一助となるのではないかと感じています。

プラークコントロールを持続して確立することの難しさ

歯周治療において、良好な口腔衛生状態すなわちプラークコントロールが確立されている状態を維持することで歯周炎の進行を抑制できるということは、数々のエビデンスによって示されています。
しかしながら、実際の臨床においては歯周基本治療の間は一般的に目標値とされているPCR 20%以下を達成できたとしても、歯周外科治療、口腔機能回復治療を経ていく中でセルフケアがうまくいかなくなるケースは多いのではないかと思います。
そのような場合は、プロフェッショナルケアでサポートしながら口腔衛生指導を行い、維持管理しながら歯周治療を進めますが、SPTに移行しても、なかなかセルフケアによるプラークコントロールが安定しない患者にしばしば遭遇します。
今回ご提示する症例も、プラークコントロールの確立に苦慮しながら歯周治療を進め、SPTに移行してからも患者と二人三脚でプラークコントロールの確立に取り組んでいます。
患者は57歳男性、主訴は「歯が全体的にグラグラする」とのことで来院されました。歯周組織検査結果と1日10本以上の喫煙もあることから、広汎型慢性歯周炎(ステージⅣグレードC)と診断されました(図1, 2)。
まず、歯周基本治療にてOHIの徹底とスケーリング・ルートプレーニングによる細菌のコントロールを行い、上顎前歯部はプロビジョナルレストレーションにて暫間固定と治療用義歯を作製し、咬合の安定化を図りました。
歯周基本治療時に行ったOHIでは、歯周病ハイリスク患者であることを鑑み、バイオフィルムの内部まで浸透し、殺菌することができるIPMP(イソプロピルメチルフェノール)と歯肉の防御力を高めるビタミンE(酢酸トコフェロール)が薬用歯磨剤の国内承認最大濃度まで配合された「Systema SP-T ジェル」をお勧めし、セルフケアに取り入れていただきました。清涼感と適度な発泡でスッキリ感があり、「口腔内の粘つきも気にならなくなった」とのことで継続して使用されています。
また、清掃用具の選択に関しては、歯肉の炎症が強かったため、まずはスーパーテーパード毛で軟らかめの歯ブラシ「Systema 44M」で歯頸部への当て方を指導し、炎症の消退とともに、「Systema 44H」、「Systema SP-T」へと移行しながらブラッシング指導を繰り返し行いました(図4)。
しかし、努力はされているものの、手用歯ブラシでのプラークコントロールの改善がなかなか難しく、ご本人の希望もあり電動歯ブラシ「ソニッケアー」を取り入れていただくことにしました。電動歯ブラシを使用する際にも、「Systema SP-T ジェル」はペースト状の歯磨剤よりも粘性のあるジェル状であるため、歯面や歯頸部に対して停滞しやすいのではないかと考えます。ジェルが停滞することで、プラークを浮き上がらせる効果も高いように感じます(図5)。
歯周基本治療終了時には禁煙を達成し、プラークコントロールも確立できたため、歯周組織再生療法を含む歯周外科治療へ移行しました(図3)。
歯周基本治療によって歯肉の表面的な炎症がコントロールできていたため、手術中は出血が少ない状態で行うことができました。
歯周組織再生療法の際はブタ歯胚組織使用歯周組織再生用材料を使用しましたが、血液などで汚染されていない清潔な歯根面にファーストタッチさせることで、タンパクの吸着率が向上するため3)、出血のコントロールは非常に重要になります。そのため、歯周外科治療を成功に導けるかどうかは、質の高い歯周基本治療にかかっているといっても過言ではありません。
しかし、歯周外科治療後には、術部へのブラッシングを控える期間があったためか、ブラッシングに対して消極的になってしまい、ブラッシングがなかなか安定しない状態でしたが、プロフェッショナルケアでサポートしながらSPTへと移行しました(図6, 7)。

  • [写真] 初診時の口腔内写真
    図1 初診時の口腔内写真。多量の歯石の沈着と歯肉の炎症が認められる。
  • [写真] 初診時のデンタルX線写真と歯周組織検査結果
    図2 初診時のデンタルX線写真と歯周組織検査結果
  • [写真] 歯周組織再生療法時の口腔内写真
    図3 歯周組織再生療法時の口腔内写真。炎症のコントロールができていたため、術中の出血のコントロールも良好であった。
  • [写真] スーパーテーパード毛の歯ブラシSystema シリーズ
    図4 スーパーテーパード毛の歯ブラシSystema シリーズは、歯肉の炎症の程度や患者の好みによって段階的に選択して指導できる。
  • [写真] ソニッケアーでのブラッシング
    図5 ソニッケアーでのブラッシング時にSystemaSP-T ジェルを使用することで、超音波の作用をより効果的に得ることができる。
  • [写真] SPT移行時の口腔内写真
    図6 SPT移行時の口腔内写真。上顎前歯部に若干の発赤が認められる。
  • [写真] SPT移行時のデンタルX線写真と歯周組織検査結果
    図7 SPT移行時のデンタルX線写真と歯周組織検査結果

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