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198号 AUTUMN 目次を見る

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Clinical Report

クラレノリタケデンタルの接着システムを用いたダイレクトコンポジットレストレーション -臨床フルステップ-Flowable vs Paste? Flowable & Paste.

八重洲歯科診療所 勤務医 苅込 亮典

キーワード:コンポジットレジン修復/ES-2 Premiumのレシピ

目 次

はじめにダイレクトコンポジットレストレーションを行う理由

“Form follows function” これはアメリカの建築家Louis Sullivan(1856-1924)氏の言葉である。デザインにおける美しさは機能に従属するという考え方であり、筆者は歯科治療においても当てはまると考えている。今お読みいただいている先生も必ず感じたことがあるであろう“健全な天然歯を綺麗”と。これは機能が損なわれていないがゆえに美しいと感じるのである。では、その機能がう蝕などにより失われた際“最小限の介入で最大限回復できる治療方法”、それがダイレクトコンポジットレストレーションであると考えている。
本稿では、筆者の日常臨床において使用頻度の高い「クリアフィル マジェスティ ES フロー」(以下:ES フロー)と「クリアフィル マジェスティ ES-2 Premium」(以下:ES-2 Premium)の特徴や使用時のポイント、基本としているレシピについて、上顎右側第一・第二小臼歯におけるClassⅠおよびClassⅤが混在した症例を通じて解説する。

症例概要

患者は20代女性。上顎右側第一・第二小臼歯の咬合痛および審美不良を主訴に来院された。唇側歯頸部ならびに咬合面にコンポジットレジン修復が施されており、二次う蝕およびマージン部の着色が認められる(図1)。1歯2窩洞となっているため、ClassⅤからClassⅠの順で治療工程を解説する。

  • [写真] 術前写真
    図1 ClassⅤ 術前写真

治療工程 ClassⅤ

浸潤麻酔を打った後にラバーダム防湿を行う。可能であれば反対側同名歯まで防湿を行うことで術野の確保のみならず、充填時に形態の確認ができる。また、前歯部用のクランプをかけることで歯頸部側マージンの明瞭化が可能となる(図2)。
エアフローとエアスケーラー用のブラシチップを用いて患歯に付着しているバイオフィルムを除去する(図3, 4)。
旧修復物およびう蝕の除去の際にはアシッドレッドポリプロピレングリコールのう蝕検知液を使用した。多孔質であるう蝕象牙質第1層のみ染色されるため、細菌感染が認められず再石灰化可能なう蝕象牙質第2層が温存できる(図5)。
マージン部はクラックを除去するため、スーパーファインのダイヤモンドポイントにて仕上げた(図6)。
唾液などの接着阻害物質の残存により接着強さは約40%低下するため、接着前処理として「カタナクリーナー」を使用した。リン酸エステル系モノマーMDPと塩基性分から形成される“MDP塩の界面活性作用”と“こすり塗りによる物理的作用”、この2つが合わさることで高い洗浄効果が期待できる(図7)。
エナメル質に対する前処置としてはリン酸エッチング材「Kエッチャントシリンジ」を用いてセレクティブエッチングを行った(図8)。エナメル小柱と小柱間質との石灰化度の違いにより、エッチング効果に違いが起こりエナメル質表面を粗造化、投錨効果により機械的接着力が向上する1)。
ボンディングにおいては1ステップユニバーサルボンド「クリアフィル ユニバーサルボンド Quick 2」(以下:UBQ 2)を使用した。多官能ウレタン系メタクリルモノマーを導入したことでボンドの強度が向上し、優れた耐久性のある接着界面層の形成が期待される。また、ボンド層が薄膜でありながら2ステップセルフエッチングシステム「クリアフィル メガボンド 2」に匹敵する接着強さ、これは審美領域を処置する上で魅力的な「UBQ 2」のメリットである2)(図9, 10)。
歯質が乾燥していない術前にシェードテイキングを行い、最も適合していた「ES フロー」 A1を充填した。「ES フロー」は術者のニーズに応じたSuper Low, Low, Highの流動性の異なる3種類がラインナップされている。
ボンディング後の第1層となるライニングは、充填量が多いと重合収縮により窩底部からレジンが剥がれ、術後疼痛の原因となることが危惧されるため、流動性の高い「ES フロー」 Highを厚さ1mm以下となるべく薄く充填する。
“詰めてもらったところが痛い”という訴えを聞くことがなくなるのは術者の精神的な負担が減り、患者からの信頼が上がる、まさに一石二鳥な工程であるため、本稿を読まれた次のアポイントからぜひ実践いただきたい。
最表層の充填の際には、隣在歯のカントゥアを参考に適度な流動性と賦形性を兼ね備えている「ES フロー」Lowを盛り上げた。チップからの糸引きが生じにくいため意図した形態で充填を止められることができ、適度な流動性により滑らかな面を作りやすいのは本レジンの魅力である。
形態修正および研磨後にアンダーとなることを防止するために最終外形よりわずかに大きく充填する(図11)。
充填直後は確実に歯質とのギャップが存在するため、フレーム型のダイヤモンドポイントでマージン部のすり合わせを行う。ラバーダム防湿下で行うことで、充填不足やレジン内部の気泡が表出した際に再充填が容易となる。また、一般的に光重合型のコンポジットレジンは、充填当日には重合反応が完全に終了していないため粗研磨までにとどめる(図12)。
ラバーダム防湿により、歯質に含まれる水分が乾燥し充填部のみ明度が低く見えてしまうが、これは歯質が唾液によってリハイドロレーションすることで馴染むため、術前のシェードテイキングさえ外していなければ心配は不要である。
重合反応が完了する術後24時間以上経過後に、コンポジットレジン用のシリコンポイントを用いて仕上げ研磨を行う(図13)。

  • [写真] ラバーダム防湿
    図2 ラバーダム防湿
  • [写真] バイオフィルムを除去
    図3 エアフローを用いてバイオフィルムを除去
  • [写真] バイオフィルムならびにエアフローのパウダーを除去
    図4 エアスケーラー用のブラシチップを用いてバイオフィルムならびにエアフローのパウダーを除去
  • [写真] う蝕を除去
    図5 う蝕検知液を使用してう蝕を除去
  • [写真] 窩洞を仕上げた
    図6 スーパーファインのダイヤモンドポイントで窩洞を仕上げた。
  • [写真] 接着阻害物質を除去
    図7 「カタナクリーナー」を用いて接着阻害物質を除去
  • [写真] セレクティブエッチング
    図8 「Kエッチャント シリンジ」を用いてセレクティブエッチング
  • [写真] クリアフィル ユニバーサルボンド Quick 2
    図9 ボンド層の被膜厚さが薄く接着強度が「クリアフィル メガボンド 2」に匹敵する「クリアフィル ユニバーサルボンド Quick 2」を使用
  • [写真] コンタクトへのボンディング材の付着を防護
    図10 透明ストリップスを使用しコンタクトへのボンディング材の付着を防護
  • [写真] 「ES フロー」 A1を充填
    図11 「ES フロー」 A1を充填
  • [写真] 形態修正と粗研磨後
    図12 充填当日は形態修正と粗研磨までにとどめる。
  • [写真] 術後写真
    図13 ClassⅤ 術後写真

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