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「精密健診・先端医療・活動長寿」を目指して空の玄関口“羽田”に藤田医科大学 羽田クリニック」開設

藤田医科大学東京 先端医療研究センター 藤田医科大学 羽田クリニック 院長 榛村 重人/藤田医科大学 羽田クリニック 神奈川歯科大学 歯科衛生士 小野 智咲女

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  • [写真] 藤田医科大学東京先端医療研究センター 藤田医科大学羽田クリニック 院長 榛村 重人
    藤田医科大学東京先端医療研究センター
    藤田医科大学羽田クリニック
    院長 榛村 重人

2023年10月、最先端の研究と自由診療や先進医療による幅広い医療の提供を目的に、藤田医科大学東京先端医療研究センターが開設されました。同センターの開設経緯と、併設された藤田医科大学羽田クリニックの取り組みの現状について、羽田クリニック院長の榛村重人先生と小野智咲女歯科衛生士に伺いました。

<榛村重人 院長>

藤田医科大学は昨年創立55年を迎え、「独創一理」の精神のもと、“その時、いちばん動ける藤田学園へ”をスローガンに、大規模災害、パンデミックな ど多くの社会課題に取り組んできました。このたび、日本の空の玄関口とも言える羽田の地に、次世代医療・研究の拠点として藤田医科大学東京先端医療研究センターならびに羽田クリニックを設立したことも、そうした取り組みの一環です。
当施設は、天空橋駅に直結する大型複合施設「羽田イノベーションシティ」のZONE Aの地下1階から地上4階にあり、3階までがクリニック、4階にはFUJITA MEDICAL INNOVATION CENTER(FMIC)と呼ばれる先端医療研究センターを併設しています。
羽田クリニックは、「精密健診・先端医療・活動長寿」を目的に、先端医療研究センターをはじめ藤田学園関係医療機関による臨床データからエビデンスに基づいた診療を提供することが主な目的です。また、日本国内における医療技術の粋を結集した最先端の自由診療を提供する場として機能することも目指しています。これまで藤田医科大学では、産学連携をテーマにさまざまな企業と共同で日本製の高性能な医療機器を海外に紹介する活動を行ってきた経緯があり、4階にはそうした企業の開発機関を併設するとともに、クリニックには現在世界に4台しかない立位CTを設置し検査に活用するなど、将来的に海外輸出への足掛かりになるための役割も担っています。そうした理由から、クリニックに設置している医療機器はハイスペックな日本製の機種にこだわっています。
さらに、羽田空港に隣接する地の利を生かし、中国をはじめとしたアジア地域からのインバウンド需要を対象に、日本ならではのホスピタリティと安らぎの空間で医療やカウンセリングを受けていただける雰囲気づくりにも意識して取り組んでいます。現在のところインバウンドの方々の健診が中心ですが、今後は自由診療や先進医療を中心に一人ひとりの患者さんにじっくりと向き合いながら診療していく予定です。
ところで、私は眼科医ですが、再生医療の専門医でもあり、日本抗加齢医学会の認定医も務めています。そうした経緯から、歯や口腔と全身の健康との関わりにも関心を持っていて、羽田クリニックの院長就任にあたり、歯科の施設申請も率先して要請してきました。「活動長寿」という言葉は、藤田医科大学のリハビリテーションの先生が考案された用語です。この活動長寿の実現には口腔も含めトータルで健康を考える視点が重要です。今後、歯科の新たな知見やノウハウを大いに取り入れながら、この羽田クリニックを起点により多くの皆様に質の高い医療を提供していきたいと考えています。

  • [写真] 藤田医科大学東京先端医療研究センター
    藤田医科大学東京先端医療研究センター/羽田クリニックは、「羽田イノベーションシティ」ZONE A地下1階から地上4階にある。
  • [写真] 2階のイメージングセンター
    2階のイメージングセンターには一般撮影室、CT室、立位CT室、MRI室、PET-CT室、頭部・乳房専用PET室を設けている。
  • [写真] 現在世界に4台しかない立位式の全身用CTスキャナ
    現在世界に4台しかない立位式の全身用CTスキャナを導入。自然体の立位姿勢を撮影することで重力下での断層画像が取得可能に。
  • [写真] 頭部・乳房専用PET
    頭部・乳房専用PET。頭部モード・乳房モードを選択可能でき、高分解能のPET画像を得ることができる。
  • [写真] 画像再構成機能を搭載した高性能デジタルPET-CT
    AI技術を応用し、画像再構成機能を搭載した高性能デジタルPET-CTは、全身検査の際に使用する。
  • [写真] 健診時の休憩などに使用する専用個室
    健診時の休憩などに使用する専用個室。大小12部屋あり、写真はトイレ、シャワー室、パウダールームを完備したもっとも大きな部屋。空港の滑走路も望める絶好のロケーション。

<小野智咲女 歯科衛生士>

[写真] 藤田医科大学羽田クリニック 神奈川歯科大学 歯科衛生士 小野 智咲女
藤田医科大学羽田クリニック
神奈川歯科大学
歯科衛生士 小野 智咲女

一般企業の診療室で歯科衛生士業務を経験し、歯科衛生士学校の教員を務めた後、縁あって羽田クリニックの新設に伴い入職することになりました。企業の診療室では、医科と連携した健診業務も行っていたため、その経験が活かせればと考えています。歯科の常勤スタッフは私しかいませんので、正直大変な面も多々ありますが、歯科医師に相談したり、他科のスタッフともコミュニケーションを密にとりながら、歯科の存在意義をできるだけアピールできるよう日々努力を重ねているところです。
クリニックで行っている口腔機能検査は全部で7項目あり、その項目ごとに専用の機器を使って検査や問診を行います。検査項目は、舌や口腔乾燥の状態、咬合力、舌・口唇の運動機能、舌圧、咀嚼機能や嚥下機能のチェックなどです。
受診者は中国の方が多く、ほぼ中国語での会話になりますが、医療通訳の方が同伴してくださるので、私はすべて日本語でお話しします。言葉だけでは伝わりにくい点もありますので、通訳の方と作成した中国語の説明書も使いながら検査をすすめています。また言葉は通じなくてもしっかりお客様の目を見て話し、緊張がほぐれるよう笑顔でいることを心がけて検査を行っています。中国には歯科衛生士という職種がなく、口腔機能に関する指導を受ける機会も少ないようで、「この機能が低下しているので、この体操や訓練をしてみてくださいね」とご説明すると、とても感謝されて、私も嬉しい気持ちになります。
本格的な始動はこれからですが、「活動長寿プログラム」という中で歯科の時間もいただいているので、医科の先生方とも連携を深めながら、口腔機能に限らず全身の健康管理の分野までアプローチできるように務めていきたいと考えています。

  • [写真] 3階にある精密健診センター
    3階にある精密健診センター。口腔機能検査はこのフロアにある口腔ケア室で行われている。
  • [写真] 口腔ケア室
    口腔ケア室では、口腔衛生状態や乾燥状態、咬合力や舌・口唇の運動機能、咀嚼・嚥下機能など7項目の検査を行う。
  • [写真] 専用のスクリーニングツールや記録用紙
    写真のような専用のスクリーニングツールや記録用紙を使って問診結果や検査結果を記入していく。
  • [写真] 検査の際には防護衣を着用
    唾液などを扱うため、検査の際には防護衣を着用する。
  • [写真] 中国語などに翻訳した手作りの案内ツール
    各検査の手順や検査機器について説明するため、中国語などに翻訳した手作りの案内ツールを用意している。
  • [写真] 検査終了後のアドバイス
    検査終了後、検査や問診の結果に沿って、適宜アドバイスを行っている。

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