190号 AUTUMN 目次を見る
目 次
- ≫ ブラスターをすべてのユニットに導入された理由をお聞かせください
- ≫ 全ユニットに導入された事例は聞いたことがないかもしれません
- ≫ 「アドプレップ」を選ばれた理由をお聞かせください
- ≫ アドプレップ導入後に感じられた変化はありますか
- ≫ 現在展開されている10クリニックすべてで使用する接着材料や接着システムを統一されていると伺いました
- ≫ 接着システムを統一する経営面でのメリットはどんなところでしょう
- ≫ アドプレップの使用感について勤務医の先生(取材当時)に伺いました
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MID-G 最高顧問
医療法人翔舞会 前理事長
東京都中野区 エムズ歯科クリニック東中野
荒井 昌海
CAD/CAM冠が普及するなか、より確実な歯冠修復の実現には、それぞれの材料に適した接着システムの選定と接着面に対する表面処理が重要です。このたび、全ユニットにチェアサイド圧力可変ブラスター「アドプレップ」の導入を実現された荒井昌海先生に、その有用性とともに、クリニック内で接着システムを統一するメリットについてお話を伺いました。
ブラスターをすべてのユニットに導入された理由をお聞かせください
いちばんの理由はCAD/CAM冠の脱離を防ぐためです。正しい方法で接着修復を行うためにはサンドブラスト処理は必須です。以前は当院でも、サンドブラスト処理のたびに、1台しかないブラスターの設置場所まで移動する必要がありました。「こんな非効率なことをいつまでもやっていてはいけない」と思って、このたびすべてのチェアサイドに設置したわけです。
全ユニットに導入された事例は聞いたことがないかもしれません
おそらく日本初ではないでしょうか(笑)。すべてのチェアにマイクロスコープを設置している医院さんは聞いたことがあります。ただ、当院ではマイクロスコープよりブラスターの使用頻度の方が高いので、理想的なブラスターが発売されたら「必ず全ユニットに導入する」と以前から決めていました。また、クリニックとしての接着修復へのこだわりも感じられます。他の先生方にも、ぜひ参考にしていただければ幸いです。全ユニットは難しいとしても、少なくともクリニックに1台、できれば2, 3台は必要と思っていただけたら嬉しいですね。
「アドプレップ」を選ばれた理由をお聞かせください
当院では以前から自作のブラスターを使っていましたが、それを見ていただいたら、なぜアドプレップが良いのかすぐにお分かりいただけると思います。自作の装置はコンプレッサーから直接繋げて、市販の圧力調整弁を水道業者に特注して付けてもらってできた、まさにハンドメイドです。こんなに大きくて重かった装置が、アドプレップのように軽量でコンパクト、しかもスタイリッシュになれば、比べるべくもないでしょう。
診療室の奥にある従来のブラスターは市販の圧力調整弁を取り付けたハンドメイド仕様。
アドプレップの設置状況。使い勝手を追求し、場所はアシスタント用トレーの下になった。
吸塵ボックスはバキュームホースに直結され、粉の飛散を軽減。着脱はマグネット式なので、戻す際のストレスを感じない。
アドプレップ導入後に感じられた変化はありますか
導入した直後ですので、スタッフからは「使いやすい」「チェアタイムが短縮できる」といった術者側の使用感しか聞いていませんが、長期的にみればほぼ脱離はなくなると考えています。また、チェアサイドから移動せずにサンドブラスト処理が行えるのは、スタッフにとってかなりの負担軽減に繋がっていると思います。
現在展開されている10クリニックすべてで使用する接着材料や接着システムを統一されていると伺いました
![[写真]](/academic/dentalmagazine/wp-content/uploads/sites/2/2024/09/190-4_photo04.jpg)
エムズ歯科クリニックで採用している接着システム。保管容器の上蓋には早見表が貼ってあり、経験の浅いスタッフでも迷わず処置に当たることができる。
接着にはプライマー処理が必要ですが、製品によって処理時間がまちまちですし、光照射が必要なケースとそうでないケース、照射時間もマテリアルによって違っていたり、それをすべて覚えるだけでも大変です。ですから当院では、ある時期から接着ステップや使用材料はすべて統一しました。ただ、同じジルコニアでもインレーなのかクラウンなのか、そのマージンが咬合面に来るのか来ないのかによっても接着材を変えているので、それでも覚えきれません。そこで、使用材料やステップが一目で分かる早見表を作って保管容器の上蓋に貼っています。これさえ見れば、新人スタッフでも迷うことがありません。また当院では、接着システムに限らず、例えば棚の引き出しには仕切りがあって、それは10クリニックすべて同じ仕様で統一しています。さらに、そこに収納されている材料も置く場所もすべて同じです。「逆に大変なのでは?」と言われることもありますが、「〇〇はどこにあるの?」と探す手間がありませんし、一度決めてしまえばこれほど楽なことはありません。当院ではシャッフルシフトといって、すべての勤務医が複数のクリニックで診療するシステムをとっているので、どこか一つのクリニックでも違うことをすれば、とたんに働きにくくなってしまいます。それを統一することで、いつ誰がどこに行っても同じ状況、水準で働ける。こんなにやりやすいことはないと考えています。
接着システムを統一する経営面でのメリットはどんなところでしょう
接着材料は多種多様な製品が存在します。まったく使われないまま棚に眠っている製品や、山ほどの在庫を抱えている歯科医院さんもたくさんあると思います。それは過剰在庫という点で経営的にも好ましくありません。当院では、今回のアドプレップ導入のように、吟味して良い製品を揃えることで、その後のロス(脱離)が減らせます。導入時に多少コストがかかっても経営的な面から考えれば、結果的にプラスに作用していると思います。もちろんいろんな製品を試してみることも必要ですが、私の考えは「システム化された高品質な製品」の一択です。クラレノリタケデンタルの製品で例えると、メーカーによるたゆまぬ研究開発を経て、推奨されたシステムで統一すれば、製品同士の相性は当然良くなります。それが結果として精度の高い治療を提供することにつながります。接着修復におけるいちばんのリスクは脱離です。脱離さえ回避できれば経営的には合格点です。どんなに安価で良い材料でも、ひとたび脱離してしまうと、時間・コスト・評価などのロスに直結します。したがって「脱離しない接着システムを選択することが医院経営のすべて」と言っても言い過ぎではないと、私自身は考えています。
アドプレップの使用感について勤務医の先生(取材当時)に伺いました
![[写真] 神奈川県横浜市 エムズ総合歯科クリニック 綱島 院長 竹中 真弓子](/academic/dentalmagazine/wp-content/uploads/sites/2/2024/09/190-4_staff02.jpg)
神奈川県横浜市
エムズ総合歯科クリニック 綱島
院長 竹中 真弓子
サンドブラスト処理の時間短縮は勤務医にとって大きなメリットです
従来は、サンドブラスト処理のたびに診療室の奥にあるブラスターの設置場所まで移動するのが大変でした。CAD/CAM冠やジルコニア接着の際には常にサンドブラスト処理が必要ですから、1日に携わる症例のうち約3分の1はブラスターが必要なケースと言ってもいいかもしれません。アドプレップが全ユニットに設置されてからは、移動のロスが解消されることで、治療時間短縮にもつながり、勤務医一同とても喜んでいます。常に時間単位で診療をコントロールしている勤務医にとって、時間短縮は大きなメリットです。吸塵ボックスは荒井先生の要望で独自の改良が加えられ、バキュームで粉塵を吸引しながら処理でき、粉が舞うこともなく手元も見えやすいので、とても使いやすいと感じています。
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