会員登録

190号 AUTUMN 目次を見る

Trends

1ステップ型ボンディング材の一歩先へ「クリアフィル® ユニバーサルボンドQuick 2」の特長

クラレノリタケデンタル株式会社 商品開発本部 企画開発部

PDFダウンロード

キーワード:1ステップ型ボンディング材/レジンコーティング

目 次

はじめに

近年、1ステップ型ボンディング材は各社から発売されており、市場での普及が進んでいる。1ステップ型ボンディング材の多くは、直接充填修復のみならず間接修復の際の被着面処理材としても使用可能な「ユニバーサルユース」となっており、臨床の様々な場面で使用されている。
クラレノリタケデンタル(株)は2018年に、ボンディング材塗布後の待ち時間なし、高接着、多用途ユースを達成した1ステップ型ボンディング材である「クリアフィル ユニバーサルボンド Quick ER」を上市した(図1)。「クリアフィル ユニバーサルボンド Quick ER」では、歯質のみならず各種被着体への優れた接着性を有するリン酸エステル系モノマー「MDP」に加え、親水性アミド系モノマーを新たに採用することで、ボンディング材の浸透性向上、硬化特性向上を達成した。これらの技術により、ボンディング材塗布後の待ち時間なしでありながら、高い接着性能と多用途ユースを両立させている。
今回当社は、「クリアフィル ユニバーサルボンド Quick ER」の特長はそのままに、1ステップ型ボンディング材のさらなる信頼性向上のために被膜強度および塗布感を向上させた「クリアフィル ユニバーサルボンド Quick 2」を開発した(図2)。以下で本品の詳細について紹介したい。

  • [写真] クリアフィル® ユニバーサルボンド Quick ER
    図1 クリアフィル® ユニバーサルボンド Quick ER
  • [写真] クリアフィル ユニバーサルボンド Quick 2
    図2 クリアフィル ユニバーサルボンド Quick 2

「クリアフィル® ユニバーサルボンド Quick 2」の特長

本品の特長を以下に示す。
●多用途ユース
●ボンディング材塗布後の待ち時間なし
●高い接着性
●つかいやすい液性状
●室温保管可能(2 - 25℃)
●薄膜・均一・強固なボンディング層形成
本品は「クリアフィル ユニバーサルボンド Quick ER」と同様に、「ボンディング材塗布後の待ち時間なし」、「多用途ユース」で臨床の様々な症例で使用することができる(図3)。直接充填修復には高強度・良好な研磨性・優れた操作性を兼ね備えた「クリアフィル マジェスティ ES フロー」との組み合わせで、唾液の多い下顎部や長時間の開口が困難な小児・高齢者の症例でスムーズな治療を行うことが期待される。また、本品は「ボンディング材塗布後の待ち時間なし」であるにもかかわらず「高い接着性」を発揮する(図4)。
加えて、セメント接着時には「SAルーティング Multi」と、支台築造時には「クリアフィル DCコア オートミックス ONE」との組み合わせで、本品単独での歯面処理が可能でありシンプルで分かりやすいシステムで使用することができる。これらの組み合わせ使用では、タッチキュア(ボンディング層との接触界面から硬化促進する技術)が接着力の向上に寄与するため、組み合わせでの使用を推奨したい(図5)。
以下では、本品で新たに追加された特長である「つかいやすい液性状」、「室温保管可能(2 - 25℃)」、「薄膜・均一・強固なボンディング層形成」について臨床における利点と合わせて紹介する。

  • [図] 「クリアフィル ユニバーサルボンド Quick 2」は多用途に使用可能
    図3 「クリアフィル ユニバーサルボンド Quick 2」は多用途に使用可能
  • [図] ボンディング材塗布後の待ち時間なしで高接着
    図4 ボンディング材塗布後の待ち時間なしで高接着
  • [図] 「SA ルーティング Multi」との組み合わせで接着力向上
    図5 「SA ルーティング Multi」との組み合わせで接着力向上

塗布感の向上、室温保管可能

多用途ユースの製品では、間接修復前の大きな支台歯や直接充填修復を行う小さな深い窩洞など適用部位の形態も多岐にわたるため、意図した部位に十分にボンディング材を適用できず塗り残しが生じた場合、術後疼痛や二次う蝕などのリスクが高まる可能性がある。
本品は「クリアフィル ユニバーサルボンド Quick ER」から、さらに「つかいやすい液性状」を目指し、サラッと広がり、かつ適度な塗布感を有する設計とした。「クリアフィル ユニバーサルボンド Quick ER」と比較すると粘性は低いが(図6)、フィラーの配合によりエアーブロー時にも過度に流れすぎることがないため、隅角部にはたまりにくく壁面にはとどまり、窩洞サイズや形態によらず均一なボンディング層を形成する。
さらに本品は「クリアフィル マジェスティ ES フロー」や「SA ルーティング Multi」と同様に室温で保管が可能である(推奨保管温度2 - 25℃)。これらの特長がユーザーの手間やストレス軽減につながり、効率的でスムーズな診療の一助となることを期待したい。

  • [図] つかいやすい液性状
    図6 つかいやすい液性状

薄膜・均一・強固なボンディング層の形成

従来1ステップ型ボンディング材の課題としては、硬化後のボンディング層の「吸水性」、「強度」が挙げられ、その接着性能はプライマー、ボンドから構成される2ステップ型ボンディング材には及ばないという市場での認識があった。「クリアフィル ユニバーサルボンド Quick ER」では、高純度の「MDP」、親水性アミド系モノマー、高活性光重合触媒を採用しており、ボンディング材の歯質への浸透性および接着界面の硬化性が高まることで、接着性、耐吸水性および強度が向上した。
本品では、塗布しやすい液性状を実現しながら接着性能を維持するため、薄膜化したボンディング層の硬化性の向上が必要であった。通常、ボンディング材の粘性を下げるためフィラー量を低減させると、塗布感の低下やボンディング層の強度低下につながる恐れがある。そこで本品では製造方法の最適化を行い、フィラー量を維持しながらサラッとした粘性の低い液性状、薄膜化を実現するとともに(図7)、被膜強度の向上を目的とし多官能ウレタン系メタクリルモノマーを新たに導入した結果、「クリアフィル メガボンド 2」と同等以上の硬化特性を有することが確認されている(図8

  • [図] 薄膜で均一なボンディング層を形成
    図7 薄膜で均一なボンディング層を形成
  • [図] 高い硬化物物性を示す
    図8 高い硬化物物性を示す。

象牙質レジンコーティング法への適用

本品は、保険算定項目である象牙質レジンコーティングに使用することができる。薄膜のボンディング層を形成するため支台歯の形態に影響を与えにくく、象牙質に対しレジンコーティングを実施することでレジンセメントの接着性が向上することが確認されている(図9)。
また、被着面が汚染されているとレジンセメントの接着力低下につながることが知られているが、歯面および本品でレジンコーティングした面それぞれに対する唾液汚染の影響を確認したところ、唾液汚染および水洗後に、歯面ではレジンセメントの接着力が低下したのに対し、レジンコーティングした面では接着力への影響が小さかった(図10)。

  • [図] 象牙質レジンコーティング法によりレジンセメントの接着力は向上する
    図9 象牙質レジンコーティング法によりレジンセメントの接着力は向上する。
  • [図] コーティングによる耐汚染
    図10 コーティングによる耐汚染

まとめ

今回発売した「クリアフィル ユニバーサルボンド Quick 2」は、従来の「クリアフィル ユニバーサルボンドQuick ER」の塗布後待ち時間なしで高接着はそのままに、さらに使いやすい液性状と1ステップ型ボンディング材の「質」向上にこだわった製品である。今後、本品があらゆる臨床現場で使用され、臨床家のお役に立つことができれば幸甚である。

目 次

モリタ友の会会員限定記事

他の記事を探す

モリタ友の会

セミナー情報

セミナー検索はこちら

会員登録した方のみ、
限定コンテンツ・サービスが無料で利用可能

  • digitalDO internet ONLINE CATALOG
  • Dental Life Design
  • One To One Club
  • pd style

オンラインカタログでの製品の価格チェックやすべての記事の閲覧、臨床や経営に役立つメールマガジンを受け取ることができます。

商品のモニター参加や、新製品・優良品のご提供、セミナー優待割引のある、もっとお得な有料会員サービスもあります。